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OSSは“代替品”ではなくイノベーションの牽引役、来年度の戦略を語る

「オープンソースで顧客の事業変革を支援」レッドハット望月新社長

2015年12月22日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レッドハット日本法人は12月21日、11月に同社代表取締役社長に就任した望月弘一氏が出席し、事業方針発表会を開催した。望月氏は、顧客が求めるビジネスイノベーションを、先進的なオープンソースソフトウェア(OSS)の力で実現していく「良きパートナーになりたい」と語った。

11月からレッドハット日本法人の代表取締役社長を務める望月弘一氏

 望月氏は、1986年の日本IBM入社から約30年間にわたってIT業界に携わってきた人物。米IBM、NTTなどを経て、2010年からは、NTT子会社の日本法人であるディメンションデータジャパンの代表取締役社長を約5年間務めた。11月26日に、レッドハット代表取締役社長に就任した。

日本でのビジネスは非常に堅調、OpenStackは来年後半に「普及期」へ

 米レッドハットでは先週、2016年度第3四半期(2015年9~11月期)の業績を発表している。売上は前年同期比で15%増(実質ベースで21%増)の5.24億ドル、サブスクリプション売上は前年同期比で16%増(実質ベースで22%増)の4.57億ドルとなり、これで13年(55四半期)連続の四半期売上成長を達成した。

 同社では日本法人単独の業績を公表していないものの、望月氏は「日本の事業も非常に堅調である」と説明し、現在注力する「クラウド&モバイル」「ビッグデータ&IoT」「データセンターの刷新」という3つのソリューションの進捗を説明した。

2015年の「クラウド&モバイル」ビジネス

 クラウド&モバイル事業ではまず、OpenStackディストリビューションである「Red Hat Enterprise Linux(RHEL) OpenStack Platform」の国内実績が伸張した。望月氏は、2015年は「OpenStackが評価期から導入期に来た」1年だったと述べ、官公庁や製造業などで導入実績が生まれ、新規案件も増加していると説明した。「(RHEL OpenStackの売上は)対前年比で60~70%の伸びを示している」「今年の評価期、導入期を経て、2017年度の後半(2016年9月以降)には『普及期』に入ってくるものと期待している」(望月氏)。

 また今年は、PaaS基盤ソフトウェアである「OpenShift Enterprise 3」も投入している(関連記事)。OpenShift 3について、プロダクト・ソリューション事業統括本部 ミドルウェア事業部 事業部長の岡下浩明氏は、コンテナ技術の「Docker」を中核としている点が大きな特徴であり、エンタープライズグレードでDockerを採用できている競合はないと強調。今後、顧客企業がDockerを採用し始めることで、OpenShiftの優位性が高まっていくだろうという見通しを説明した。なおレッドハットでは、JBossなど他のミドルウェア群においても順次コンテナ技術を取り入れていく方針。

2015年の「ビッグデータ&IoT」関連ビジネス

 ビッグデータ&IoT関連では、GIS(地理情報システム)や災害情報システムなどへのリアルタイムビッグデータシステムの導入、またスマートメーターやスマートハウス領域でのIoTプラットフォーム導入で「数多くの実績を積み上げた」と語った。

2015年の「データセンター刷新」ビジネス

 データセンター刷新の分野では、日本政策金融公庫において13台のメインフレームのオープン化を実現した事例を公開したほか、中央官公庁の大型案件や通信業案件においてJBoss製品によるモダナイゼーションの支援を果たしたと説明した。また、BRMS(ビジネスルール管理システム)市場ではシェア34%でナンバー1の地位を堅持している。

(→次ページ、「顧客のビジネスイノベーションをOSSで支えるパートナーに」

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