18インチと言うタブレットを超えたスーパー級の特大画面を搭載した「Galaxy View」を日本でも展開予定だと発表したサムスン。本体サイズも451.8(W)×11.9(D)×275.8(H)ミリともはやモバイル機器とは言えない大きさ。もちろんGalaxy Viewは家庭内やオフィス、学校内で移動して使うことを考えたデバイスですが、とにかくこんなデッカイ端末には驚き。でも、これまでもサムスンは大画面端末を次々と世の中に送り出してきていたんです。
18.4インチのGalaxy View。12.9インチのiPad Proなど目では無い大きさです。もちろん両者はまったく異なるターゲットのデバイス。大きいからといって同じカテゴリーに入れてしまいがちですが、Galaxy Viewは動画や写真を室内で楽しむビューワーとしての使い方に適した製品、小型TVがライバルでしょう。とは言え、こうやって後ろのスタンドを逆にたためば机の上で特大画面タブレットとしても使えるので、やっぱりタブレットとして使いたくなっちゃうかも。
Galaxy Viewの大きさをわかりやすく説明できるのがこちらの写真。スマホやタブレットはソフトキーを画面に表示できます。QWERTYキーボードも出せるわけですが、Galaxy Viewの場合はアルファベットキーの横に数字の10キーまで並んじゃうんです。すなわち、外付けのフルキーボードと同じ操作ができるわけ。これはこれで仕事で使う人には実は使いやすいのかもしれません。Galaxy View、この向きでタブレットとして使うのがもしかして正しい使い方なのかもと思っちゃいます。
これでペンでもあればそれこそiPad Proをでっかくした製品として使えちゃいそうです。Galaxy Noteシリーズのようなペンが付属すればおもしろいんですけどね。でも、Galaxy Viewは「View」の名前のとおり、コンテンツビューワーとしての使い方を想定しておりペンは付属しません。大画面でペンが使いたかったのになぁなんて思っちゃうのですが、実はサムスンは過去に大画面タブレットのペン付きモデルを出していたんです。
2014年1月にサムスンが突如発表した大画面タブレットが12.2インチの「Galaxy Tab Pro 12.2」と「Galaxy Note Pro 12.2」。どちらもビジネスユーザーをターゲットにした「プロ向けのタブレット」としてつけられたネーミングでした。このうちGalaxy Note Pro 12.2はスタイラスペン「Sペン」が付属。このSペンはワコムの技術を利用しており。書きやすさは折り紙付き。スマホのGalaxy Noteを使っている人ならその書き味に満足していることでしょう。この2つの12.2インチモデルは日本で発売されなかったことや、一般消費者よりもビジネスユーザーが購入層だったためかそれほど知られないまま1世代で終わってしまったのが残念。
スマホGalaxyシリーズは画面を二分割できるマルチウィンドウ機能を早くから実装していましたが、Galaxy Note Pro 12.2とGalaxy Tab Pro 12.2はどちらも画面を四分割することが可能でした。画面解像度は2560×1600ドットとWQHD解像度を越えています。四分割すると1画面あたりの大きさは1280×800ピクセル。そこそこ使えるレベルと言えるでしょう。
そして、純正のキーボードカバーもあり、スタンドを兼用していました。いまもまだ製品が出ていればiPad Proの好敵手になったのかもしれません。約2年前の製品とはいえ、市場に出るのが早すぎたのでしょうか? マウスも用意されオフィスアプリや画像編集もできるいい製品だったのですけどね。
さて、スマホの大画面モデルもサムスンが先行していますよね。初代の「Galaxy Note」は2011年秋に発表された時「5.3インチなんて大きすぎる」と言われたものです。ところが、ふたを開けてみれば後継機はみなヒットし、いまではGalaxy Sシリーズを上回る人気とも言われるほど。2012年には5.5インチの「Galaxy Note II」を発表しさらに大画面化を果たしましたが、翌2013年4月には6.3インチの「Galaxy Mega 6.3」とひと回り以上大きいモデルをリリース。なお、当初は写真にあるように韓国のみの投入でしたが、その後はアジア各国でも販売されました。
ソニーモバイルの大画面モデル「Xperia Z Ultra」が出てきたのはそれから2ヵ月後の2013年6月。Z Ultraの画面サイズは6.4インチ、スペックは当時から高く、いまでも使っている人は多いようです。Galaxy Mega 6.3とXperia Z Ultraを比べてみると高さに1センチ以上の差があります。そして、かたや丸みを帯びたデザイン、もう一方は角ばったスタイルと大画面端末でもイメージは大きく異なりますね。なお、Xperia Z Ultraに対してGalaxy Mega 6.3があまり大きな話題にならなかっのはSnapdragon 400搭載のミドルレンジ端末であり、そしてこのころサムスンは春先に出したフラグシップモデル「Galaxy S4」を強力にプッシュ中。Megaのことはあまりアピールされなかったのです。
Galaxy Mega 6.3はその後、後継機「Galaxy Mega 2」が2014年9月に出ますが画面サイズは6インチに小型化。小さくなっちゃったのは理由があって、それと同時期に今度は7インチの「Galaxy W」が発表されたのです。7インチと言う大きさはタブレットと思うでしょうが、このGalaxy Wは画面アスペクト比が16:9、本体の横幅は99.6ミリとなんとか片手で持てる大きさ。ということで、タブレットではなく超大画面スマホとして登場したのです。もちろんLTEに対応し、音声通話もできます。7インチで解像度はHDなので画面密度は220dpiと低く、大きいアイコンや文字は年配者に喜ばれたとのこと。背面カバーもそのころ流行りの革風の仕上げで何気に高級感もあったのでした。
サムスンはデジカメもやっていますが、こちらはスマホのようには成功せずにかなり苦戦しています。そのため意欲的な製品もたまに出していますが、そのひとつが2013年発表の「Galaxy NX」でした。NXは同社のカメラシリーズの型番ですが、それにGalaxyの名前が付いた、ということはそう、これもAndroidで動く端末なのです。
Galaxy NXはレンズ交換式、一眼レフスタイルのミラーレスカメラでありながら背面には4.8インチHD解像度の液晶を搭載。当時のハイエンドスマホと同じディスプレーをデジカメに搭載したわけです。しかも、LTE内蔵なのでこれ単体で通信可能。カメラを使わないときはメールを送ったり、SNSを使ったり、ゲームを楽しむこともできたのです。残念ながらこの機種もその後は後継モデルは出ず。日本では2015年に発売されたパナソニックの「LUMIX DMC-CM1」が一部で熱狂的な人気となっていることを考えると、高画質な写真を撮影後にそのままクラウドへアップロードできるGalaxy NXはいまの時代にあった製品なのですけどねぇ。
サムスンはスマホメーカーと思われていますが、実際はディスプレーなども手掛ける総合電機・家電メーカーです。大画面製品を次々に出せるのも、自社でディスプレーを製造しているからこそでしょう。そういえばスマートウォッチで2インチ以上の大画面の製品を最初に出したのもサムスンでした。「Gaer S」の2インチディスプレーでは文字入力も結構できちゃうんですよね。
同社はいま、折り畳めるディスプレーも開発しています。大画面スマホのGalaxy Noteシリーズのように、折り畳めるスマホで新たな市場を開拓してくれるかもしれません。それが実現するまでは、Galaxy Viewを超える大画面端末やら、7インチを超えるスマホなど「謎」な製品をぜひ出し続けてほしいものです。

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