日本マイクロソフトのクラウドパートナー戦略が加速している。
今年7月からの新年度において、日本マイクロソフトが重視しているのがクラウド分野におけるパートナーシップの強化。今年夏には約2500社だった国内クラウドパートナーを、来年6月までに3500社に拡大する計画を打ち出し、ISVなどの「IPサービス」企業、ホスティングやマネージドサービスを提供する「マネージドサービス」プロバイダー、SIerやプロジェクトサービスを提供する「クラウドインテグレーション」企業、そして「クラウドリセラー」の4つの領域から拡大を図る。
日本マイクロソフト ゼネラルビジネス担当の高橋明宏執行役常務は、「これまではオンプレミスでのリセーリングが中心のパートナーシップであったが、これからはモバイルファースト&クラウドファースト時代における新たなクラウドパートナーシップが重要になる」とし、「特に、マネージドサービス、IPサービス企業とのパートナー開拓に力を注ぐ」と語る。
従来は、クラウドリセラーが中心のパートナーシップであったが、今年7月にはIPサービス企業と、クラウド領域においてパートナーシップを組むための新たな組織を設置。さらに、マネージドサービス、クラウドインテグレーション企業をリクルートするための体制も作り上げた。この中には、競合クラウドベンダーのパートナーをリクルートする戦略的な取り組みも含まれる。
高橋執行役常務が語る、「これまでマイクロソフトと距離があったパートナーとの連携が増えていくことになる」という表現は、こうしたパートナーを取り込んでいく姿勢を示したものだといえる。
3500社に到達した際には、クラウドリセラーの数は全体の約60%に留まるのに対して、IPサービスおよびクラウドインテグレーションは、それぞれ15%ずつ、マネージドサービスは約10%という構成比を想定。クラウドリセラー以外の領域でのパートナーシップ拡大を軸に据える。
日本マイクロソフトでは、このほど、クララオンライン、ブロードバンドタワー、ナレッジコミュニケーション、テクノスデータサイエンス・マーケティング、FPTジャパン、ネクストセットの6社とのパートナーシップを発表した。IPサービス、クラウドインテグレーション、マネージドサービスの各領域の企業が参加。さらに、AWSを扱っていた企業もAzureの取り扱いを開始する。
さらに、高橋執行役常務は、「我々が到達していない領域に踏み込むために、新たなパートナーとの連携と、既存パートナーのクラウドシフトを支援していくことが大切。そして、これまでのような製品を売るのがパートナーという定義も変わる。ユーザー企業のITマネージャーとの連携により、我々の製品を使ってもらうという提案も、クラウド時代のパートナーシップの新たな形になる」とする。
パートナーとカスタマーを組み合わせた「パスタマー」という造語が、日本マイクロソフト社内で使われている。エンドユーザーもパートナーになるという考え方が浸透し始めているからだ。
もうひとつ、社内では「2Tearパートナー」と呼んでいた流通商社を通じた取り組みも拡大している。社内での呼称も「インダイレクト」へと変更。地方展開を加速するだけでなく、ISVおよびIPサービス企業の取り込みにも成功しているという。
そして、3500社のパートナー獲得に向けては、パートナーのクラウドビジネス立ち上げを支援する期間限定相談窓口「Start Up Microsoft Cloud!!」を新たに開設。専門部隊が対応し、ビジネスモデル立案支援、パートナープログラムの提案などを行っていくことになる。
こうしてみると、日本マイクロソフトは、あらゆる領域から、クラウドパートナーの拡大に力を注いでいることがわかる。
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