今回はアプリの集客における重要なキーワード、「ASO(アプリストア最適化)」について書きます。
無償で実施でき、かつ非常に良質なユーザーを獲得できる可能性を秘めているこの集客手法は、それでいてなかなかPDCAを回すに至らないことが多いのではないかと思います。
簡単にASOについて説明しつつ、手が回らなくともこれだけはおさえておくべき要素に焦点を絞ってお話しできればと思います。
ASOについての基礎知識
ASOとは何ぞや
ASOとは「App Store Optimization」の略で、アプリストアの最適化のことを言います。
「アプリストア検索で上位表示されるようにすること」と「検索結果からインストールまで誘導すること」の2つがその中心となります。つまり、WebにおけるSEO+LPOのアプリストア版、と言ったようなものです。
Webと大きく異なるのは、アプリストアはグーグルやアップルといったプラットフォーマーの規定に従う必要がある分、コントロールできる変数が大きく制限されるという点です。
アプリストアの変数と、それぞれの影響度は以下のようになります。
これ以外にも複数の要素が考慮されていると考えられていますが、大きくはこのようなところです。
ASOの重要性
これだけの要素があるとなるとなかなか面倒な感じがしますが、それでも実施するに足るほどの重要性がASOにはあるのでしょうか? 答えは「ある」だと思います。
ASOの最大のメリットは「無償」で「良質なユーザー」が獲得できるという点です。原則として費用の発生する外部集客と異なり、アプリストア内部での自社施策は完全に無償です。また、自ら能動的に検索をしてくるユーザーですので、目的意識が高く、優良な顧客になる見込みが強いため、是が非でも獲得を図るべきです。その上、アプリを見つけるためにアプリストアで検索するユーザーの割合は63%に達するとのデータが出ており、検索経由ユーザーを獲得できるか否かで、アプリの成功は大きく左右されそうです。
実際にASOを実施する前と後で、自然流入数のベースが20%近く増加したという事例もあり、元の順位やアプリのジャンルにもよりますが、大幅なユーザー増加が見込める可能性は十分にあると思います。
ASOの注意点
上記の通り大変ポテンシャルの高い集客手法であるASOですが、1点大きな注意点があります。それは、各アプリストアにおいて、検索順位の不当な操作は禁止されている、という点です。
タイトルや説明文で不必要/不自然なKWを使用したり、必要なKWでも過剰に何度も使用したりすると規約違反になってしまい、最悪リジェクトされてしまう可能性があります。何より、このような不自然な見た目では、ユーザーに対して不信感を抱かせ、せっかく目に触れさせることができてもそのユーザーを逃してしまうという本末転倒な結果になりかねません。
対プラットフォーマー/対ユーザーの双方において、ASOは節度を守った対策が必要ですね。
これだけは押さえておきたいASO対策:検索編
さて、ここからは実際のASOで、まず押さえておきたいポイントについて説明していきます。冒頭でASOを「検索上位表示」と「インストール誘導」の2つに分けましたが、今回はGoogle Playを例に「検索上位表示」について紹介します。
最初はキーワード選定
ASO対策で、第一にやるべきは「キーワード選定」です。
以後の対策はすべて「このキーワードがいかに検索にひっかかるか」が軸になるわけですから、そもそもこのキーワードの検索ボリュームがどれだけあり、かつアプリの要素とどれだけ合致しているかが非常に重要です。
例えば、「マップ上の駒を動かして敵を撃破するゲーム」を探しているユーザーは、アプリストアでなんと検索するでしょうか? シミュレーション、戦略、ストラテジー……と、似たようないくつかの候補キーワードが存在すると思います。ただ、それぞれの検索ボリュームは大きく違う可能性があります。
以下はGoogle トレンドからのWeb検索を参照しているので、アプリ検索にそのまま当てはめることはできませんが、類似概念でも検索ボリュームが大きくことなることが示唆されています。
青:シミュレーションゲーム
赤:シミュレーションRPG
黄:戦略ゲーム
緑:ストラテジーゲーム
そして2015年11月4日時点では、これらの各キーワードで検索をかけると以下のような結果になっています。
似通ったキーワードでありながら、検索結果の顔ぶれは大きく違っていることが分かります。キーワード1つでこれほどまでに結果が異なるため、どのキーワードの検索に対して自分のアプリを表示させたいのか、先ほどの検索ボリュームも鑑みながら、慎重な選定が必要です。
その際、検討しているキーワードのサジェスト候補についても確認しておきましょう。一見検索されづらそうな複合キーワードでも、サジェストがあることで検索ボリュームが実は多いという可能性もあります。
アプリタイトルについて
キーワードの選定が終わったら、もっとも影響度が大きいとされているアプリタイトルの対策にとりかかります。
ここで押さえておくべき点は以下の3点です。
- 2回以上同一、または類似しているキーワードを入れない
- 【 】や[ ]でキーワードを区切ると効果が増す可能性がある
- 検索結果ページでの13文字での見え方を意識する
「3.」の13文字については、検索結果順位に直接関係するものではありませんが、キーワードにのみ意識を払っていると、13文字での見え方がわかりにくくなり、せっかく上位表示されてもユーザーを逃してしまう恐れがあるため、きっちりケアする必要があります。
説明文について
アプリタイトル次は、説明文にとりかかります。
ここで押さえておくべき点は以下の3点です。
- メインのキーワードは自然な範囲で複数回使用する(6回以上は効果がない可能性も)
- メインキーワードの類似表現も盛り込む
- デフォルト表示の最初の5行の見え方を意識する
「2.」については、メインキーワードの言い換えを散りばめることで、他キーワードの検索結果にも表示される可能性が出てくるため、タイトル部分ではできない説明文での有効な施策です。
また「3.」についてはアプリタイトルの13文字同様、検索結果に直結するものではありませんが、これもやはりユーザーからの見映えに大きく影響する部分となるので、キーワード使用を意識しつつも見た目にこだわる必要があります。
まとめ:実例を見ながら
さて、ここまででASOを実践するにあたっての基本知識をご紹介しましたが、実際どの程度その対策がなされ、どの程度効果があるのかを見て、まとめに入りたいと思います。
以下は「シミュレーションRPG」という検索KWに対する、結果上位12位までのアプリについての各指標を調べたものです(2015年11月4日時点)。
結果から、以下のようなことが言えます。
- 影響度の強さは「タイトル>>>説明文>インストール数>レビュー評価」、レビュー数については影響はゼロかかなり軽微の可能性
- タイトルでのKW使用は、完全一致ほどではないが部分一致も効果あり
- 説明文でのKW使用回数は通説通り5回以内であれば多い方がよさそうだが、3回以上に渡って使用されているケースは少ない
とはいえ、これだけでは説明がつかない点がいくつか見受けられますし、この結果自体も流動的に変化していきます。そのため、常に状況をウォッチし、ストアページやキーワード選定のPDCAを回していく必要がありますが、このあたりのノウハウやツールについては次回以降に説明をさせて頂きたいと思います。
もし「すぐにでも知りたい!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までお気軽にご連絡くださいませ。すぐにお伺いさせて頂きます! 長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。それでは、また!