マニアの心をがっちりつかむアンプメーカーの製品群
軽さという点では、この10月に発売されたヤマハの「THR Head」がよろしいです。大人気の小型アンプ「THR」シリーズの流れをくむスタジオ/ステージ仕様の製品で、100Wの「THR100H」で3.6kg。そのTHR100Hを2台分積んだ「THR100H Dual」でも4.2kg。なんとレスポールよりも軽い。100Wクラスの真空管アンプは20kgを超えるのが普通ですから、まったくデジタル様万歳です。
モデリングされたアンプはソリッド/クリーン/クランチ/リード/モダンと、5種類。要するにJC、フェンダー、VOX、マーシャル、そして最近のハイゲインアンプの音まで網羅しています。ライン出力にはスピーカーキャビネットの特性をシミュレートした信号が出力され、そのままPAのミキサーに接続できます。
操作系は、1つのノブに1つの機能しか割り振られておらず、音作りはスピーディー。でありながら、モデリングされたパワー管5種類(6V6/EL84/KT88/6L6GC/EL34)の特性や、パワーアンプの動作(Class A/AB)も選択できるというマニアックさもあって、好きもののハートをがっちりつかみそうです。おまけにフットスイッチも付属。ああ、なんて良心的なんでしょう。
細かくセッティングを追い込みたければ、PC用のエディター「THR HD_H Utility」も用意されています。これを使うと、IR(インパルス応答)データを差し替え、さまざまなスピーカーキャビネットの特性が楽しめます。サードパーティー製のIRデータも取り込み可能ということで、この辺はKemperあたりのギタープロセッサーと比べてみたい気もします。
そういえば、VOXもミュージックパーク開催の直前に、Valvetronixシリーズの新型「VT20X/VT40X/VT100X」の発売を発表していましたが、今回は展示がありませんでした。THR同様、アンプの回路や真空管の動作を真面目にモデリングした製品で、細かいエディットにはPC/スマートフォン用のエディターも用意されています。
やっぱりパワーアンプの動作(Class A/AB)やバイアスも選択できるという、マニアが喜びそうな仕掛もあります。キャビネット一体型のコンボアンプなので、THRのように軽くはありませんが、ギターアンプとしては珍しく密閉型のバスレフ構造で、スピーカーの口径やキャビネットサイズ以上に低域を稼げているはずです。価格も良心的な設定なので、これもぜひ試してみたいものです。
ところでコルグといえば、新型真空管「Nutube」ですが、今回のValvetronixシリーズには使われていないようです。そろそろNutubeが入った何かしらの製品がそろそろ出てもいい頃のような……。
エフェクター関係では、BOSSがいままでにないタイプの製品を出してきています。
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