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【後編】現役ミリタリーライター宮永・有馬のミリタリー放談

超大和型!氷山空母!WoWsに登場させたい8隻のロマン艦

2015年11月26日 18時00分更新

文● 有馬桓次郎 編集●南田剛志、村山剛史/ASCII.jp

ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦の真価はソ連ツリーで判明!?

(C) Wargaming.net

有馬 『World of Warships』にはイタリアツリーがまだありませんが、お話のタネとしてヴィットリオ・ヴェネト級戦艦を入れてみました。

 これは宮永さんにお聞きしたかったんですけど、プリエーゼ式円筒防御って本当に効果がなかったと思います?

宮永 うーん。プリエーゼ式ってある意味で信仰の様なものじゃないですか。効果があるって人もいればないって人もいて、それぞれに話に裏付けがあるんですよね。

有馬 プリエーゼ式円筒防御を採用したイタリア戦艦のなかで、それが原因で大被害を出した戦艦というのも事実ありました。でも、それって近代化改装の際に、従来の防御方式に追加してプリエーゼ式を採用した艦ばかりなんですよ。

宮永 コンテ・ディ・カブール級ですね。もともと古い艦にプリエーゼ式をくっつけたはいいんだけど大被害を受けちゃって、それってプリエーゼ式に問題があったんじゃなくて元々の設計に問題があったんじゃないか、っていう。

有馬 そうそう。一方で、ヴィットリオ・ヴェネト級に関しては新造時からプリエーゼ式を組み込んでいて、こちらは被雷してもそれほどの被害を出していない。つまりプリエーゼ式そのものには問題はないんだけど、コンテ・ディ・カブール級の元々の防御力に問題があったか、プリエーゼ式を後付けした際の工事に問題があったんじゃないか、と私は思うんですよ。

宮永 どうなんでしょうね、船の設計って事前に可能性を詰めて、その可能性に対して解答を重ねていくものじゃないですか。だからプリエーゼ式についても、それなりの確信を持って採用した技術だとは思うんですけどね。

 イタリアツリーが実装されるかはまだ判らないですけど、一方で私はソ連のツリーに「ノヴォロシースク」が入ってくると予想してるんですよ。もし「ノヴォロシースク」が入ってきたのなら、このあたりについても検証を重ねていくことになるでしょう。少なくとも、ダメージを受けた後に外から円筒が丸見えになるようなことはないと思いますよ(笑)

※ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦……イタリア海軍最後の戦艦。主砲は38cmだが初速が極めて速く、近距離砲戦では大和型の46cm砲をも上回る貫徹力を誇っていた。
※プリエーゼ式円筒防御……イタリアで開発された対魚雷防御方式。魚雷の水中爆発の衝撃を吸収するため、舷側に大きな円筒を埋め込んで内部を空洞としたものだったが、その工作には非常に手間がかかり、またかえって衝撃を増幅させ被害を増大させたとする説もある。
※コンテ・ディ・カブール級……第一次大戦中に建造されたイタリア海軍の戦艦。同型艦3隻。そのうち2隻が後の近代化改修の際にプリエーゼ式円筒防御を採用したが、1940年のタラント空襲で1番艦「コンテ・ディ・カブール」が魚雷攻撃により大破着底する。
※「ノヴォロシースク」……コンテ・ディ・カブール級2番艦「ジュリオ・チェザーレ」を、戦後ソ連が賠償艦として引渡しを受け、再就役させた戦艦。

A-150“超大和型”は望み薄!?

有馬 ここまでは現実に存在した艦の話をしてきましたけど、ここからは計画にしか存在しない未成艦について話を進めていきたいと思います。

 まずは日本、A-150戦艦

Tier10大和以降の計画は……? (C) Wargaming.net

宮永 前半のドイッチュラント級装甲艦の話のなかで、H39より後ろは出てこない、という話をしましたね。そうするとH39のカウンターパートを考えたときに、改大和型、超大和型が今の日本ツリーには含まれていませんから、現状の大和型をトップとするツリーが1つの完成形になってるんじゃないかと。

 これの導入を考えるのは、大和型を凌駕する戦艦が出てきた後の話で、今は大和型以上の戦艦は重視されてないと思いますね。

有馬 あえて出すとするなら、どういう形で出すと思いますか?

宮永 やっぱり、各国のツリーが一通り揃ってからでしょうね。現在はソ連やドイツの拡充を進めているところですし、全世界のユーザーが自分の国のツリーを楽しめるようになった後でしょう。

有馬 『World of Tanks』でもTier10に、数は少ないですがモジュール変更のできる戦車がありますよね。だとするとこのA-150も、もしかしたら大和型のモジュール変更という形で再現されるのかもなあ、と思っているんですけど。

宮永 うーん、どうなんでしょう。改大和型まではいけると思うんですけど、超大和型となると排水量が大幅に上がっちゃうのでね。そうすると大和型のモジュール変更で再現、というのとは話が変わってくるんじゃないかと。

 ただ、日本には別立てのツリーを作るほど戦艦の幅がないので、現状の大和型をトップとするツリーに、さらに追加して別のツリーを立てる余裕はないと思います。それに51cm砲の性能自体が『World of Warships』ではオーバースペック過ぎるので、私個人としては実装はないだろうなあ、という気がするんですよね。

現在の日本ツリー。(C) Wargaming.net

有馬 それに、こいつを出すとするなら時間当たりの投射弾量が大和型を下回ってしまうので、おそらく非常に使いにくくなるんじゃないかと思うんですよね。いちばん現実的なプランを挙げるなら、51cm連装砲3基6門だけですから。

宮永 相当歪な艦になるでしょうね。それだったらまだ大和型を使ってるほうが、と考える人が多くなるかもしれません。それに今はまだ大和型を使ってる人はそれほど多くはないので、プレイのデータが充分に揃ってないと思うんですよ。大和型以上の戦艦の実装を考え始めるのは、それからになるでしょうね。

※A-150……大和型に続いて計画されていた日本海軍の新戦艦計画のうち、51cm砲を搭載する超大和型戦艦計画のこと。一方、改大和型計画は大和型の防御力を改正したもので、一説には46cm長砲身砲の採用が考えられていたという。

(次ページでは、「ハバクックはロマン艦というより英国面の塊!?」)

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