Windows 10の“November Update”に関する説明会が、11月18日に日本マイクロソフト本社で開催されました。これまで、TH2(Threshold2)とも呼ばれていた最新アップデートになります。
このNovember Updateにおける変更点の中でも筆者が注目したのが、フォントレンダリングの改善です。
デスクトップの“デ”が小さい問題が改善
今回提供されたNovembrer Updateは、TH2のほかにも“バージョン1511”や、“ビルド10586”といった呼び方もされています。さらにパッチを当てることで、現時点では“ビルド10586.11”が最新になっています。
説明会には日本でWindows 10の開発に携わるマイクロソフト・ディベロップメントのメンバーが登壇し、アップデート内容を解説しました。
フォントレンダリングの改善では、Windows 10のUIフォントである“Yu Gothic UI”の品質が向上したとのこと。エクスプローラーを開いて“デスクトップ”の“デ”が小さく見える問題が改善されています。
これらの游ゴシック系フォントのヒンティング情報を改善することで、漢字が細く見えてしまうところや、文字がつぶれていたところも修正したとしています。
Windows 10の日本語フォントは混沌とした状態
これらの日本語フォントに関する改善要望は、Windows 10に関する日本からのフィードバックで、最も多かった点と説明しています。
フォントの品質が気になる人にとっては、そもそもこのような問題を抱えたままWindows 10がリリースされたこと自体、納得いかないかもしれません。そうしたユーザーの間では、Windows 10のシステムフォントを入れ替えるテクニックも出回っていました。
一方で、フォントの細かな描写の違いは気にならないとか、そもそも気付かなかったという人もいるでしょう。海外携帯に慣れたユーザーなら「中華フォントでもいい」と考えるかもしれません。
また、フォントにこだわりのあるユーザーはWindowsをあきらめ、徐々にMacに移行しているのかもしれません。筆者も日本語の文章と向き合う仕事ではMacのほうが扱いやすいと感じており、原稿のほとんどはMacBookで書いているのが現状です。
たしかに今回のアップデートで游ゴシック系フォントの品質は向上しました。しかしWindows 10の日本語フォントはMSゴシック系、メイリオ系、游ゴシック系が混在しており、シンプルとは言いがたい状況が続いています。
その一方でWindowsには、過去のデスクトップアプリとの互換性を保つことが期待されるため、フォントを強制的に游ゴシックに統一するといった荒療治ができないことも、解決を困難にしています。
“愛されるWindows”になるためにはそれなりに“愛される”必要がある
もう1点、説明会で注目を浴びた話題として、「Windows 10に対する日本からのフィードバックや投票(Vote)の数が少ない」という点がありました。
その理由として、日本では他のユーザーが問題を指摘していると、あえて自分が指摘するまでもないと考える人が多いようだ、とマイクロソフトは分析しています。あるいは、Twitterなどに書き込んで満足している人もいるでしょう(もちろんSNSなどへの投稿もマイクロソフトは参考にしているとのこと)。
Windows 10の開発チームは、バグ修正の優先順位を決める指標として、フィードバックの数を重要視しています。しかし日本市場特有の問題は、ただでさえ世界の中で埋もれがちです。その上フィードバックの数も少ないと、問題の解決はますます遠のくことになります。
これは“愛されるWindows”戦略にとって、大きな課題です。サティア・ナデラCEOを始め、最近のマイクロソフト関係者は「仕事で仕方なく使うWindowsではなく、愛され、選ばれるWindowsになりたい」というフレーズを強調しています。
愛されるWindowsになるためには、フィードバックを集め、バグ修正を続けていく必要があるはず。しかしそのサイクルをうまく回していくには、Windowsがそれなりに愛されていなければなりません。今後のWindows 10には、この鶏と卵の関係をうまく打開していくことが期待されます。
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