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Windows Info 第55回

Xbox OneのOSがWindows 10ベースに One Windows化が進む

2015年12月09日 12時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII.jp

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TH2のリリースに合わせて
Xbox OneのWindows 10ベースにアップグレード

 Xbox OneのOSがアップグレードされて、Windows 10ベースになった。11月12日に配布が開始され、すでにアップデートが1回行われている。バージョン番号は「10.0.10586.1016」と、PCと同じくビルド10586のTH2ベースである。

原稿執筆時点で、Xbox One OSのバージョンは、10.0.10586.1015

 なお、初回に配布されたのは「10.0.10586.1006」というバージョンだった。

実際にはすでにアップデートが行なわれており、最初のTH2リリースは、10.0.10586.1006というバージョンだった

 Xbox Oneの「設定」→「システム」にある「バージョン情報」(英語版ではabout)には、前回解説したレジストリに登録されているBuildLab相当のリリース情報が表示されており、最新版では、「th2_xbox_rel_1510.151118-2147」となっている。

 TH2スタイルのバージョン情報でいえば、2015年の10月アップデートで、ビルド日時が2015年11月18日21時47分ということになる。TH2になる前のXbox OSは「xb_rel_1508.150825-1633」で、2015年8月のアップデート(配布は9月9日)である。実際の配布よりもリリースの日付が前になるのは、一般ユーザーに配布が始まる前に開発者向けのリリースが行なわれ、これをバージョン識別用にしているからだと推測される。

Xbox Oneはゲームの実行環境とシェル類が
別の仮想マシン環境で動作している

 Xbox Oneは、仮想マシン環境(Hyper-V)を利用しており、ゲームの実行環境となる「Exclusive」パーティションと、全般の操作環境を受け持つXbox Shellなどが動作する「Shared」パーティションの2つの仮想マシンが動作している。

Xbox Oneは、Host OS(ハイパーバイザー)の上で、Xbox Shellなどを動作させるSharedOSとゲーム専用のExclusiveOSの2つの仮想マシン環境が動作している

 Exclusiveパーティション側で動作しているExclusiveOSは、ゲーム用のOSで、こちらもWindowsベースとはいえ、ゲーム用に特化した構成で、いわゆるゲームアプリしか動作しない。

 つづいてSharedパーティション側で動作しているSharedOSは、起動直後にXbox Shellを動作させ、設定やストアアプリ、その他のXbox用アプリなどを動作させるベースとなるもの。2つのパーティションに分離しているのは、ゲーム実行環境への影響を最小にするためだと考えられる。また、実行環境を完全に分離してセキュリティー(特にゲームアプリに対する保護)を確保するためだ。なお、TH2へのアップデートに伴い、Hyper-VもWindows 10ベースに移行していると想像される。

 また、今回のアップデートで、SharedOS側で動作しているXbox Shellが大きく改良された。これまでのXbox Shellは、Windows 8のスタート画面やストアアプリなどによく似た、横スクロールを主体にしたものだった。

今回のTH2アップデート前のXbox Oneのホーム画面。Windows 8のスタート画面のように横スクロールのみを使う

 一方、Windows 10 TH2版のXbox Shellは、縦横のスクロールを使ったものとなった。

TH2アップデート後のホーム画面。上下と左右のスクロールを併用するようになった。ホーム画面上には、直前まで実行していたアプリのサムネイル表示がある

 また、設定のアイコンなどがWindows 10風など、全体的にWindows 10テイストの印象を受ける。TH2のXbox Shellでは、直前に実行していたアプリのライブサムネイル表示の下に4つの実行履歴表示があり、さらにその下にユーザーがピン留めしたタイルが配置される。

アプリサムネイルの下には、過去に起動した4つのアプリが縦に並ぶ。アプリによってはジャンプリストのように関連する項目が横に表示される

アプリ履歴の下は、ユーザーがピン留めしたアプリのタイルが並ぶ。左端の「My Games&apps」は、PCでいう「すべてのアプリ」に相当するもの

 TH2以前は、縦スクロールせず、直前に実行していたアプリの周囲に実行履歴によりタイルが並び、ピン留めタイルは左側に配置された。

 また、4つある実行履歴は、Windowsのタスクバーのようにジャンプリストを表示できるものがあり、たとえばゲームアプリなどでは、「Game hub」や共有機能などが直接起動できるようになっている。Game hubは、特定のゲームに関する情報や「実績とチャレンジ」(ゲームの進行などによって受け取ることができる得点の一種)の進行状況、友達の活動、画面、動画キャプチャなどをまとめたページだ。

 簡単にいうとゲームの周辺情報を集めたページで、Xbox専用ゲームには基本的に用意されている。マイクロソフトによれば、今回のXbox Oneのアップデートは、ソーシャル関係の機能が強化されたとのこと。

 また、設定やログオンなどは、ホーム画面の左端にアイコンがあり、画面を左にスクロールさせると、メニュー項目が表示されるようになった。

ホーム画面の左側にはメニューアイコンがあり、これを選択するとメニューが表示される。ここからログオンや通知の表示、設定画面などに切り替えが可能

 以前は、設定アプリなどを起動したり、ホーム画面左上のユーザーアイコンなどを選択して行なっていた操作がこのメニューから可能になる。なお、画面を分割して複数のアプリを表示するスナップ機能もここから起動する。

Xbox Oneのスナップ状態。分割位置は固定で、左側の大きな領域ではゲームアプリが実行できる。右側は、Windows 8の最小幅のスナップとほぼ同じ状態

 スナップが可能なのは、ゲームアプリを除く、アプリ(ブラウザやSkypeなど)だ。スナップされたアプリは、必ず画面右側に表示され、分割位置を変更することはできない。その様子は、Windows 8.0でスナップ表示を最小幅(Windows 8.0では320ドットと決められていた)にして表示したのとほぼ同じ。

 スナップ機能自体は、Xbox Oneでは以前から搭載されていたのだが、表示に関しては、TH2ベースになっても変化はないようだ。Xbox OneのTH2では、前述のXbox Shellのアップデート以外では、Xbox360に対する下位互換性の提供がある。これにより、一部のXbox360ゲームをオンラインで入手して利用することが可能になる。

 Xbox 360はそもそもCPUアーキテクチャが違うため、従来のコードの実行には、マシン語のエミュレーターが必要になるわけだが、そのあたりのメカニズムは公表されていない。

 互換性機能は、Xbox 360ゲームのディスクから直接起動するわけではなく、ディスクは認証のためにのみ使われ、Xbox One上で動作するXbox 360ゲームのバイナリデータがインターネット側からダウンロードされて実行されるという。

 そして実際に動作するのは限定されたタイトルのみであり、バイナリが別ということから、PowerPCの機械語コードエミュレーターではなく、Xbox One上で動作するように再コンパイルしてx86バイナリを作っている可能性がありえる。こうした手間がかかるため、収益が期待できる一部のアプリのみに限定されているとも考えられる。


(次ページでは、「OSはWindows 10ベースになったが、ユーザー側のメリットはまだ」)

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