IFA 2015レポート 第16回
2年以内に3割シェア、モトローラ国内展開にも引き続き意欲
LTE版のYOGA Tab 3、日本でも積極的にやりたい──レノボ
2015年09月06日 17時08分更新
IFA開幕に先立ち、Windows 10やSkylake搭載PCを含む、ホリデーシーズン向けの製品を一挙に発表したレノボ。9月4日(現地時間)には、ブースも公開され、実際の製品を試用できる状態になっている。また翌日には報道関係者向けのグループインタビューも実施。日本での戦略についても語られた。
PC世界シェア9四半期連続でトップ、2年以内に3割シェアを
下降傾向であるとも言われているPC市場であるが、レノボはその中でも元気な企業だ。グローバルのPC市場におけるシェアは、直近の四半期で21.6%。さらに2年以内に30%のシェアを確保すると鼻息が荒い。
PCはもちろんだが、タブレット・スマートフォンに関しても積極的な展開が印象的。これはモトローラ・モビリティの買収によって加速度を増している。レノボは買収以前も独自ブランドでスマートフォンを開発しており、中国市場を中心に強さを発揮していたが、モトローラの傘の下にレノボブランドがはいり、技術やノウハウを共有。お互いに補い合いながら、異なるセグメントの市場を狙っている。
モトローラはパーフェクトに日本市場に適している
レノボは国内でも、2015年中にスマートフォンの投入を実施すると発表している(関連記事)が、この辺りに関しても着々と協議を続けているようだ。過去に日本法人の社長を務め、現在ではアジア太平洋地域のプレジデントであるRod Lappin氏は今回の会見でも「Motoブランドはパーフェクトに日本市場に適している」とコメント。
特に「Moto Xは日本で受けると思う」「日本でモトローラ―をやるのは確かだが、本当に価値のある形でやりたい」とかなり積極的な姿勢を見せた。同時に腕時計型端末「Moto 360」についても、「日本にはまだいいウェアラブルの製品がなく、やりたい」とした。ただし、まだノープランとガードは固く、ニュアンスは込めつつ、具体的な計画は明かさなかった。
iPad以降タブレットに革新がないのが問題だ
一方、LTE対応のタブレットに関しても、日本はもちろん米国など海外でも急速に伸びているという。特にYoga Tabletに関しては、売上が好調で、レノボにとって2014年以降大きく伸びた分野だという。
タブレット部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーJeff Meredith氏は「2010年にiPadが登場して以降、タブレットとしてはこれに追従するものばかりでイノベーションが欠如していた」と話す。そんな中レノボは「自立し、独特なヒンジ機構で様々なスタイルで使える点やサブウーファー、プロジェクター、(ボールペンやネクタイピンでも書ける)Any Penなどを取り入れ、イノベーションリーダーとしてタブレットに取り組んできた」とする。
大画面への取り組みとしては、On-the-Goを意識した「PHUB Plus」を今回投入。3~17インチに至る広範なモバイルデバイスの画面サイズの中、6~7型はベストバランスの端末が少ないエリア。6型スマホは高級すぎるし、7型では低価格タブレットが担う。その中間を埋めるような製品として企画されている。タブレットについても「YOGA Tab 3 Pro」として、最大70型まで投影できるプロジェクターの大画面と、10.1型ながら2560×1440と高解像度のディスプレーを備え、手元の高画質の両立を図っている。従来のYOGA Table 2 Proは13型クラスの製品だったが、大画面はプロジェクターで担う形でコンセプトを転換している。
モトローラはパーフェクトに日本市場に適している
YOGA Tab 3シリーズは、Yoga Tablet以降、3世代目の製品となり、ラインアップを通じてLTEモデムを内蔵できる形を進める。前世代に関しても「半分が3Gか4Gで接続している」現状があり、日本のキャリア、つまりソフトバンクやドコモとも協議しながら、YOGA Tab 3を投入していく計画があるようだ。インタビュー中では、12~18ヵ月以内には日本のキャリアと協業した製品を市場に出していきたいということだったが、果たしてどんな形で実現するのだろうか?
なお、YOGA Tab 3 ProのWindows版に関しては「現時点で計画がない」とのこと。価格的に高くなるという点やOSシェアを鑑みた場合、「タブレットの65%がAndroidであり、Windowsのシェアは小さく、さらにその半分がSurfaceとなる」とコメント。Windowsは厳しいととらえているようだ。逆にAndroidを活用したエコシステムには可能性があり、企業ユースを含め、タブレットはAndroidを中心に展開していくという計画をレノボは持っているようだ。
Skylakeはレノボにとって好機となる
地盤沈下の傾向もあるPC市場だが、「IDCの調査では、国内でも第3四半期は5.7%、第4四半期では11%の増加があると予測されている。日本市場が戻ってくることを期待する」(Lappin氏)とのこと。特に第6世代Core(Skylake)は、レノボの強みを出せる領域にいい影響を与えると期待しているそうだ。
日本市場に対するコメントとしては、より一層顧客の声を聞く必要があるとした。ガラパゴス携帯を例にとりながら、かつて日本にはいい携帯電話機のメーカーが多数存在したが、結果として衰退したのは顧客の声を十分に聞かなかったことであり、PCも近い状況にあるとコメントをした。一方で自動車メーカーの話にも触れ、メーカーの数が多くても海外には広い市場があるという趣旨の発言をした。
レノボは今回700ドルから購入でき、LTEやReal Sense Cameraなども内蔵できる自立するWindowsタブレット「MIIX 700」を市場投入。外観の質感も高く、日本でも受け入れられそうだ。Windows 10対応も積極的に進めており、海外ではゲーミングPCや300ドル近辺から購入可能なリーズナブルなラップトップ、さらには200ドル以下のレンジとなる「ideapad 100S」なども投入する。
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