「Achieving More」(より多くのことを達成する)を
キーワードとして提示
ところで、今回のMGXでは、どんなことがテーマとなったのか。
サティア・ナデラ氏がCEOに就任して2回目となる今回のMGXでは、ナデラCEOが掲げた新しい企業ミッション「Empower every person and every organization on the planet to achieve more」(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)に絡めて、「Achieving More」(より多くのことを達成する)をキーワードとして掲示。
昨年来打ち出してきた「トランスフォーメーション」を加速させながら、顧客やパートナーの成功に向けてOne Microsoftとして共に取り組んでいくことが、全世界のマイクロソフトの共通のテーマとして徹底された模様だ。
トランスフォーメーションにおける実行面を強調
また、MGXでは、新たな企業ミッションに沿った様々なセッションが、ナデラCEOをはじめ、シニアリーダーシップチームの幹部によって実施されたようだ。ここでは、MGXの主催者であるケビン・ターナーCOOのほか、各製品およびサービスの開発部門やCFO、HR、CMO、リサーチ部門などの各リーダーから、トランスフォーメーションの進捗や成功例が示されたに留まらず、今後は、トランスフォーメーションを「ビジネス」にどう落とし込み、ビジネスの責任をどう持つのか、あるいは事業プランをどう立てるのか、顧客やパートナーの成功にどのように貢献していくのかといった内容が中心となったようである。新体制の中では、競合他社との関係にも変化が生まれていることも示していたという。
MGXの前週に行なわれたWPCにおいても、ナデラCEOは、130カ国以上から参加した1万5000人以上のパートナーを前に、「われわれは、モバイルファースト、クラウドファーストの道に進んでいくことになる」と、トランスフォーメーションの方向性について改めて言及。「プロダクティビリティとビジネスプロセスの改革」「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」「パーソナルコンピューティング」の3点から、トランスフォーメーションを実現する具体的な製品や取り組みについて説明してみせた。
ケビン・ターナーCOOも、「すばらしい施策やアイデアも、実行しなければ意味がない。パートナーと一緒になって実行し、成功へとつなげたい」として、トランスフォーメーションによる新たなビジネスモデルの実行を強調していた。
WPCおよびMGXの開催は、7月29日のWindows 10の提供が開始直前というタイミングでもあったが、Windowsユーザーに対して、初めて無償で提供するWindows 10の存在は、コンサンプション(消費)やユーセージ(使い勝手)を評価基準とするマイクロソフトの新たなビジネスモデルの象徴。MGXでも同様に、こうした具体的な製品を切り口に、トランスフォーメーションにおける実行面を強調するものとなった。
もうひとつの大きな目玉
実は、今回のMGXでは、もうひとつ、大きな目玉があった。
それは、マイクロソフトのパートナー企業、ユーザー企業のCEOなどが、マイクロソフト社員のためにビデオメッセージを送ったことだ。どの企業がビデオメッセージを送ったのか、あるいはどんな内容だったのかといったことは、社員以外には明らかにされていない。 トランスフォーメーションしたマイクロソフトの製品・サービスに対して、ユーザー企業が高い関心を寄せていることや、パートナー企業からは、これまで以上にパートナーシップを築きやすい企業になっているといった指摘が相次ぎ、そのたびに社員の間からは大きな歓声と拍手があがっていたという。なお、この中には、グローバル展開する日本のある企業のCEOからのメッセージも含まれていたようだ。
こうしてみると、今回のMGXは、マイクロソフトのトランスフォーメーションの成果を自他ともに認めるとともに、新たな事業ミッションに基づいた事業の推進を確認するイベントになったといえそうだ。
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