未来を描くスタートアップとマイクロソフトのストーリー 第3回
しくみデザイン、REAL SAMURAI、UNCOVER TRUTHで特別座談会
マイクロソフトと3社で語り合ったスタートアップの生き様
2015年06月22日 07時00分更新
「スタートアップの生き様」を聞くべく、しくみデザインCEOの中村俊介さん、REAL SAMURAI代表取締役京保雄一さん、UNCOVER TRUTH COOの小畑陽一さんの3人を招聘。日本マイクロソフトでスタートアップ支援を担当する砂金信一郎氏、増渕大輔氏をモデレーターに、苦労話からマイクロソフトへの期待までを語ってもらった。
しくみデザインの中村さんがCES基調講演の舞台に立つまで
砂金:まずは、しくみデザインCEOの中村俊介さんです。体の動きやジェスチャーで音楽を演奏できる、「KAGURA(カグラ)」というアプリで知られています。
中村:はい。KAGURAの原型は10年前、学生時代にアート作品として作っていた、体を動かすことで演奏できる楽器です。そのとき、特許を申請してみたら通ってしまった。つまり「カメラの前で身体を動かして音を鳴らす」という、おおもとの国際特許は僕が持ってるんです。
砂金:中村さんが訴えたらKinectのゲーム全滅じゃないですか!(笑)
中村:そんなことしませんよ(笑)。その結果、福岡県の「ヤングベンチャー支援事業」に採択され、2005年には会社を作ることになりました。しかし、当時はまともなカメラも手に入らないし、“ジェスチャーの楽器” なんて商売にならない。それならばということで、カメラの映像をリアルタイム処理する技術を使い、インタラクティブ広告やイベント向けの遊べるアトラクション開発のビジネスを始めたんです。
砂金:かなり先進的ですけど、最初はなかなか理解されなかったんじゃないですか?
中村:そうですね。新しもの好きな広告業界に提案してみたんですが、最初の2年間は「面白いけど、意味がわからない」と言われ続けました。転機となったのは、博報堂と組んでやった「ゲゲゲの鬼太郎」の映画告知です。道頓堀にあるビルボードに設置されていた監視用のカメラを利用して、画面を見ている人がみんな鬼太郎に変身するというインタラクティブ広告でした。これが話題になり、広告賞もいただいたことで、ボツボツと仕事が舞い込むようになりました。そして2年ほど前、砂金さんと出会ったんです。
砂金:初めてKAGURAのデモを見たとき、これはすごいなと思いました。僕もソフトウェア屋なので、リアルタイムなエンジンを“ガチ” で作っているかどうかは判断できます。だから「Microsoft Innovation Award2013」に応募してもらったんです。この手のデジタルアート作品をWindowsで作っているクリエイターもあまりいなかったので。
中村:そこで優秀賞をいただいたあと、砂金さんにインテルさんを紹介していただいて、「インテルPerceptual Computing Challenge2013」にKAGURAを応募しました。
砂金:KAGURAは(インテルが推進する)「RealSense」を使ってますからね。
中村:はい。10年前と比べて、カメラやPCの性能は飛躍的に向上してますし、深度(カメラからの距離)も正確にとれるようになった。だから、同じコンセプトでもう一度アプリを作ってみようと。ジェスチャーなどの新機能を盛り込み、ユーザーインタフェースを作り直して、KAGURAとして応募したら、優勝した。そういう経緯です。
砂金: 気がついたら「2014 International CES」のインテル基調講演に中村さんが登場して、KAGURAをデモしてた(笑)。とにかくKAGURAは一度体験してほしい。楽器ができない人でもかっこよく演奏した風になる、“気持ちよさ” を追求した楽器ですよね。
中村:楽器の演奏って敷居が高い。せめてその敷居を下げることはできないかと思い作っています。それと、楽器以外の用途にもジェスチャー操作を広げたいと考えています。
(次ページ、ゲームから教育への転身と、“真実を明らかにする” 使命)
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