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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第8回

ハイレゾを始めるならUSB DAC? それともネットワーク?

2015年03月28日 12時00分更新

文● ASCII.jp、語り●麻倉怜士

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2015年は11.2MHzのDSDが立ち上がる年になる

 今の最先端は5.6MHzの倍となる11.2MHz、4倍の22.4MHzのDSDですね。配信サイトOTOTOYがまず11.2MHz DSDのピアノの音源も販売し、3月からe-onkyo musicが10タイトル以上の配信を始めました。

11.2MHzのDSDにいち早く対応したiFi-Audioの「nanoiDSD」

 e-onkyo musicの11.2MHz DSD配信のうち、ハイパーソニックの提唱者の大橋力氏(音楽家山城祥二としても知られる)の制作に成る音源を聴きました。実は昨年、芸能山城組やパリ島のガムラン音楽の192kHz/24bit配信が始まったタイミングで、私は東京・東中野の大橋事務所にて、11.2MHzDSD音源を聴き、その底知れぬ音の表現力に驚嘆していました。その時は、「11.2MHzDSDはマスター音源であり、ここから変換やダウンロードして、配信に回す」という方針でした。今回、その宝物のマスターファイルをそのままダウンロード用に供出してくれるというのですから、これをハイレゾの幸せと言わずに、何と言うのでしょう。

 今回の大橋音源のラインナップとその音的な由来を述べましょう。1.「恐山・銅之剣舞/芸能山城組」(アナログマスターを直接、11.2MHzDSDにデジタル変換)、2.「超絶のスーパーガムラン/ヤマサリ」、3.「ハイパーソニック・オルゴール」(この二つは11.2MHzDSD録音→→いったんアナログに変換しアナログコンソールにて編集→→再度11.2MH DSDに変換)、④「チベット密教 極彩の響き/ナムギャル・タツァンの僧侶たち」(48kHz/16bitのDATマスターを元に、高周波加算により11.2MHz音源を制作)──という内容です

 今回も大橋事務所で試聴しましたが、余りの高音質に卒倒しそうになりました。刮目は、これまで最高とされていた5.6MHzDSDを圧倒的に凌駕することですね。例えばオルゴール『トロイメライ』。192kHz/24bitから5.6MHzDSDに変えると艶が加わり、響きの繊細な部分も明瞭に。奥行き感がでてきます。ところが、11.2MHzへの変化は、こんなもんじゃありません。空気の透明感は5.6MHzの倍のよう。響きの滞空時間がまるで長くなり、音が透明な空気を震わせるのを肌が感じます。

 ただ春の今のところ11.2MHzのDSDを再生できる機種はイギリスのiFI-Audio、カナダのexaSound、アメリカのOPPO Digitalなど一部のメーカーの機種だけです。秋になればもっと11.2MHzに対応した機種が増えるでしょう。同様にリニアPCMでも192kHzの2倍の384kHzで、32bitまで対応する機種が出ています。ただPCMで384kHzのファイルはまだ少なく、私は11.2MHzのファイルのほうが増えそうな気がしています。

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