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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第7回

PCオーディオという言葉の誕生からハードの変遷を知る

2015年03月27日 15時00分更新

文● ASCII.jp、語り●麻倉怜士

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CDを上回る品質の音源が、ハイレゾと呼ばれる前

 同じころe-onkyo musicのサービスが始まりました。最初の5~6年は本当に鳴かず飛ばずで、苦労をされたと思います。その努力もあってか、今はすごい勢いですね。毎日のように新譜が加わってダウンロードするだけで精一杯(つまり聴く時間がない)という感じです。

e-onkyo musicは2005年の開始。

 PCオーディオも最初はリッピングしたCD音源を聴くのがメインでした。しかし徐々にCDを超える音源をPCで扱って聴くのが、オーディオの最先端の楽しみ方だと言われるようになっていきました。CDを超えるサンプリングレートで楽曲を配信するサイトがあるのであれば、それはパソコンでこそ「いい音が出せるだろう」と考えて当然です。

 結果として登場したのが「PCオーディオ」という言葉です。その後、先進的なメーカー、特に信号処理が得意なメーカーが、パソコンと組み合わせて高音質の再生を楽しめるUSB DACを開発し、本格的なハイレゾ再生の時代が到来します。

そして私もPCオーディオの世界に足を踏み入れた

Image from Amazon.co.jp
高音質保証! 麻倉式PCオーディオ

 アスキー新書で私は『麻倉式PCオーディオ』を2011年8月に出しました。私がPCオーディオの本を書こうと思ったきっかけは、いよいよPCオーディオの波が来るという予感があったからです。波頭をみているとヒタヒタと迫ってくるような、白い飛沫を見てですね。これはちょっとすごいことになるな、と。

 オーディオ評論家としては、この波に乗るだけじゃなくて、自分で波を作らなくちゃいけない。取材して知識を得るだけではなく、自分で実践しないといけないな、と思い始めた。PCオーディオはやたら難しいのですよ、音は出るけど、ちゃんとしたいい音にするのが。ソフトウェアの話があって、ハードウェアの話もあって、音源の話があって……すごくやることが多いのですね。だから敬遠してきた。

オーディオ評論家として、PCオーディオは避けられないと思った

 でもデジタルの新しい波が来ていて、最先端のPCオーディオという分野がある。よく見たら2011年に書いた私の本にもちゃんと「ハイレゾ」という言葉が出てくるのです。

 すでにLINNがKlimax DSという機種を市場投入していた。LINNでハイレゾをやるのもひとつの手だったのですが、「ネットワークオーディオでハイレゾをやる」ということは、別の言い方をすると「何もいじれない」ということなのです。

 ネットワークオーディオは完結したプレーヤーなので、いじれるのはNASとプレーヤーの間を結ぶケーブルなどごくごく一部です。ハイレゾの醍醐味は味わえるけど、ハイレゾのことを深く知り、ファイル再生を深く理解する役には立たない。だから新書では、ちゃんとやるには障壁が高くて手間もかかるけれど、一度PCオーディオをやろう。これを征服すれば、これからやってくるファイルミュージックやハイレゾミュージックの時代をわがものにできるはずだと思ったのです。

パソコンでいい音を出すのは本当に難しい

 ただ、始めてみると本当に大変でした。まずはThinkPadを1台完全にPCオーディオ専用機にして、あらゆる常駐ソフトを消すところから始めました。どこまで消していったら音がよくなるか、ひとつひとつ確かめて、Holly Coleの『I can see clealy now』という同じ曲を聴いて点数をつけました。これを消したら83点だけど、これを消したら73点になるなど、試行錯誤しながら検証をしていくのです。

 次に組み合わせ。どんなケーブルでどんな再生ソフトを使うのがいいのか。今なら再生ソフトは「foobar2000」が定番ですが、当時は本当にたくさんの種類がありました。手作りの世界で、PCオーディオのマニアは、自分でソフトまで作ってしまうのですね。逆に言うとそのぐらいの技量がないと、なかなかPCオーディオを楽しめなかった。

foobar 2000

 ほかにも振動や電気的なノイズなど阻害要因はたくさんあって、そのための対策も必要です。だから夏に本が出る前の段階の3月、4月は実験に明け暮れる毎日でした。

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