ダイナミック型ドライバーにこだわったDynamic Motion「DM008P」
力感と繊細さを兼ね備えた新進ブランドのイヤフォンを聴く (1/5)
2014年09月01日 13時00分更新
オーディオは「多様性を愉しむ趣味なのではないか」とたまに考える。ひとつは機器を選ぶ愉しみ。もうひとつは組み合わせる愉しみだ。エレクトロニクス製品の分野で、これほど多くのブランドが存在するジャンルは思いつかない。
ヘッドフォンやPCオーディオなどが注目される中、その傾向は加速しているようだ。量販店あるいはオンラインショップには、規模の大小問わず数多くのブランドが並んでいる。国内製品はもちろんだが、海外製品の占める割合も高い。そこには既存の大手ブランドだけでなく毎年のように現れる、新しくて個性的なブランドも名を連ねている。
これには職人的な腕と耳が備わったエンジニアさえいれば企業規模はあまり問わず、素晴らしい製品を生み出せる独特の土壌が、オーディオ市場にある点が関係しているのかもしれない。
ドライバー開発のプロが送り出す、新しいイヤフォンブランド
Dynamic Motion(ダイナミック・モーション)もそんな新しいオーディオブランドのひとつ。7月にカナル型イヤフォンの新製品「DM008P」(国内販売は代理店のサエクコマースが担当)をリリースしたばかりだ。もっとも“Dynamic Motion”というブランド名を聞いても、あまりピンと来ない読者が大半のはず。それもある意味当然だ。企業として実は30年以上の歴史を持つ老舗だが、自社のブランドを掲げた製品は、いまのところ(DM008Pを含めても)2機種しかない。
ここではDM008Pを中心に紹介していく。同社初のモデルはそのベースになった「DM008」。昨年10月のヘッドフォン祭で発表され、11月から販売開始されている製品だ。
DM008PとDM008の誕生には、販売代理店でもあり、ケーブルをはじめとしたオーディオ用アクセサリーでも有名なサエクコマースが大きく関わっている。両社は共同で、製品コンセプトやデザイン、音作りなどを企画。長く意見交換をしながら、日本市場に合った製品を作り出したそうだ。
Dynamic Mothionとは?
ブランドとしては「新星」だが、企業としては長い伝統を持つのがDynamic Motionだ。創業は1982年。企業としては30年以上の歴史を持つ。スピーカーやヘッドフォン用のドライバーユニットの開発と製造一筋で、世界的なビックブランドの製品を影で支えてきた経緯があり、ドライバーの設計から製造、品質管理まで一貫してこなせる力を持つ。保有する特許も多く、高い技術力を持つ企業でもある。
特にスマートフォン用ヘッドセットでのシェアは高い。具体的には書けないが世界でも有数の出荷数を誇る製品がバンドルする“イヤフォン”のドライバーはDynamic Motionが供給するためだ。ハイエンド機器向けの部品を製造する韓国に加え中国工場も持ち、月産2000万個のドライバーユニットを製造できる能力を持つというから驚き。
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