プロセスの話も段々に佳境に入ってきたが、4月末~5月にかけて、AMDの新しいCPUロードマップが公開されたので、今回はプロセスの話をお休みして、このロードマップについて解説しよう。

アンビデクストラス・コンピューティングの軸となるProject Skybridge
x86とARM、両方の製品を提供していく
アンビデクストラス・コンピューティング
AMDは、4月29日にMULLINSとBEEMAを発表、続いて5月5日にアンビデクストラス・コンピューティングを発表した。前者は次回解説するので、今回は後者を取り上げる。
AMDがx86に加えてARMコアを投入する話は、2012年から明らかにされており、2013年6月にはSeattleコアの詳細が発表された。筆者も連載208回で解説しているが、まずはこの動機について簡単な説明があった。
ARMとx86を合わせた市場規模は800億ドルもあるため、これを掴みたいというのがAMDの基本的な発想である。その市場に向けたAMDの新しい取り組みがアンビデクストラス・コンピューティングである。
具体的には、段階を踏んでx86とARM、両方の製品を提供していくというものだ。第1段階である2014年は、まずx86ではKaveriと、それと先月発表されたBeema/Mullinsを提供し、その一方でARMベースのSeattleのサンプル出荷が今年中に開始される。
2015年になると、ARMコアとx86コアでピン配列が同一な製品が投入されることになる。なお、その製品はProject Skybridgeと呼ばれ、x86ではPuma+コアをベースに、ARMではCortex-A57をベースにしたうえで、GCNベースのGPUコアをHSAフルサポートの形で実装することが明らかにされた。
この意味合いは後述するとして先に進もう。2016年以降のタイミングで、AMDは独自設計の64bit ARMを投入する。すでにAMDはARMよりARM v8Aのアーキテクチャーライセンスを受けたそうで、これにより独自の設計が可能になった。ちなみにこの新しい64bit ARMコアに、AMDは“K12”という名称をつけていることも明らかにした。
なお、2016年以降には、この独自64bit ARM以外にも新しいx86コアを投入することも明らかにしている。

この連載の記事
-
第828回
PC
TOP500の4位に躍り出たJUPITER Boosterは効率と性能/消費電力比が驚嘆に値する -
第827回
PC
オーディオとモデムを普及させるのに一役買ったAMRとACR 消え去ったI/F史 -
第826回
PC
PCIeリリース直前に登場しわずか1年の短命に終わったCSA 消え去ったI/F史 -
第825回
PC
バッファがあふれると性能が低下する爆弾を抱えるもライセンスが無料で広く普及したAGP 消え去ったI/F史 -
第824回
PC
AT互換機が普及するきっかけとなったPCIは、MCAの失敗から生まれた 消え去ったI/F史 -
第823回
PC
Intel 18AはIntel 3と比較して性能/消費電力比が15%向上 インテル CPUロードマップ -
第822回
PC
爆発的に普及したことが逆に寿命を縮める結果になったVL-Bus 消え去ったI/F史 -
第821回
PC
IBMのMCAバスに対抗してAT互換機メーカー9社が共同で開発したEISA 消え去ったI/F史 -
第820回
PC
LEDが半導体の救世主に? チップレット同士の接続を電気信号から光信号へ ISSCC 2025詳報 -
第819回
PC
次期Core UltraシリーズのPanther Lakeは今年後半に量産開始 インテル CPUロードマップ -
第818回
PC
DDRを併用し低価格・低消費電力を実現したAIプロセッサー「SN40L」 ISSCC 2025詳報 - この連載の一覧へ