AMDは、開発コードネーム“Bald Eagle”こと、第2世代「AMD 組み込み型 Rシリーズ・プロセッサー・ファミリー」5製品を発表した。
Bald Eagleは、デスクトップ向けのKaveriをベースとした組み込み向けAPUで、AMDなどが推進するHSAに準拠する。組み込み向けのGPUと組み合わせることで、家庭用ゲーム機やゲームセンター、およびパチンコ、パチスロ、デジタルサイネージでの活用が期待されている。
Bald Eagleの性能は、前世代のRシリーズと比べて66%向上、インテルのHaswellと比べても46%高性能だとしている。3D描画に関しても、前世代のRシリーズと比べて55%、Haswellと比べて44%高性能とのこと。
Embedded R-Series ラインナップ | ||||||
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RX-427BB | RX-425BB | RX-225FB | RX-427NB | RX-219NB | ||
CPUコア数 | 4 | 4 | 2 | 4 | 2 | |
CPUコアクロック | 2.7GHz | 2.5GHz | 2.2GHz | 2.7GHz | 2.2GHz | |
CPUブーストクロック | 3.6GHz | 3.4GHz | 3.0GHz | 3.6GHz | 3.0GHz | |
GPU | 8コア R7 | 6コア R6 | 3コア R4 | 非搭載 | 非搭載 | |
GPUコアクロック | 600MHz | 576GHz | 494GHz | - | - | |
GPUブーストクロック | 686MHz | 654MHz | 533MHz | - | - | |
対応メモリー | DDR3-2133 | DDR3-1866 | DDR3-1600 | 未定 | DDR3-1600 | |
TDP | 35W | 35W | 35W | 35W | 17W |
ちなみにHSAとは、CPUとGPUなどの異なる種類のプロセッサーを効率良く利用するための仕様で、CPUとGPUでおなじ仮想アドレスを扱うことなどを可能にする。
これまでのGPUは、シェーダーコードで、物理メモリーしか扱うことができなかったため、CPUがメモリーに書き込んだ仮想アドレスを解釈してデータにアクセスすることができなかった。CPUでは、複雑なデータ構造を表現するために、メモリーにアドレスを書き込んだ「ポインター」を利用することが多い。
しかし、このポインターは、CPUが扱う仮想メモリーアドレスが書き込まれる。このため、物理メモリーアドレスしか扱えないGPUでは、これを処理できず、GPGPUでデータを受け渡す場合にCPU側がGPUにアクセス可能なようにデータを並べるなどしてポインターを使わない構造に変換する必要があった。
これがオーバーヘッドとなり、GPGPUの速度的なボトルネックとなっていた。Bald Eagleは、HSA仕様に準拠し、GPUがCPUの扱う仮想メモリーを解釈できるようになった。実際には、GPU側にもCPUと同等の仮想、物理メモリーアドレス変換の機能が搭載される。