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オールフラッシュアレイが活きる事例を見つけた!

大量Webアクセス上等!オールSSDのHP 3PARが受け止める

2014年04月30日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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数多くのオールフラッシュアレイが台頭する中、すでに製品投入や導入実績で他社をリードしているのが「HP 3PAR StoreServ 7450」だ。「OLTPやVDIはもとより、大量Webアクセスもどんと来いや!」とばかりに闘志を燃やす日本ヒューレット・パッカードの2人に話を聞いた。(インタビュアー TECH.ASCII.jp 大谷イビサ)

オールフラッシュアレイって本当に流行るんですか?

 昨今、記憶媒体としてHDDの代わりにフラッシュを採用したオールフラッシュアレイがストレージ市場をにぎわせている。HPやIBM、日立、EMC、ネットアップなどの大手ベンダーはもちろん、スタートアップが次々と製品を投入。「既存のHDDを大きく凌駕する100万IOPS」やら、「DBのパフォーマンスが以前に比べ数●倍向上!」など威勢のいい数字が飛び交っている。

 しかし、TECHオオタニはオールフラッシュアレイの成長には(少なくとも短期的には)懐疑的である。技術面では面白いものの、利用用途があまり思いつかないのが最大の理由だ。オールフラッシュが想定している用途は、極端に高い性能や低遅延を求められるDBアプリケーションや起動時にアクセスが集中するVDIなど、なんとも限定的である。しかも、安くなったとはいえ、フラッシュはまだまだ高価。オールフラッシュアレイに数千万円かけるよりは、部分的にサーバーフラッシュを導入したり、データベースのチューニングを考えるのではないか?というのが個人的な意見だ。

 また、オールフラッシュアレイへのニーズに現在の製品は応えられるのかという懸念もある。現在の製品の多くは、既存のディスクアレイのHDDを単純にSSDに載せ換えたものだ。しかし、これらの製品は信頼性や機能の点で充実しているものの、アーキテクチャがフラッシュに最適化されておらず、性能面や耐障害性に不安を抱える。一方、フラッシュを前提にした新興ベンダーの製品は、性能にフォーカスするあまり、データ保護や機能面に問題を抱える。性能はほしいが、データ保護や機能で妥協したくないというユーザーに最適な製品はなかなか見あたらないのだ。

 オールフラッシュアレイに対してモヤモヤとした懸念を持ち、「実はオールフラッシュアレイよりアーカイブの方が流行るのでは?」というコラムすら書いたTECHオオタニに、日本HPから声がかかった。なにやら、HP 3PARのオールフラッシュアレイであれば、性能面だけでなく、データ保護や機能面でも充実しているとのこと。しかも、タイトな条件のDBアプリケーションやVDIではなく、より汎用的なWebアクセス用途で多くの実績を得ているという。さっそく、大島にあるHPオフィスに行ってきた。

節約派ユーザーの高い支持を得るHP 3PAR

 3PAR(スリーパー)といえば、デルとの壮絶な買収合戦の末、2010年にHPが自社のストレージポートフォリオに加えたという曰く付きの製品だ。同社独自の「Thinテクノロジー」をベースに、ストレージの利用効率を極限まで追求。仮想化・クラウド環境を前提にした実容量以上の容量を仮想的に提供するシンプロビジョニングをいち早く実装した。また、複数ユーザーでの共用を前提としたマルチテナンシー、利用頻度に応じてデータの格納場所をダイナミックに変更する階層化管理など、書き込み時に重複するデータを除外する重複排除などを搭載。リーマンショック以降、ストレージの容量効率や管理コストの増大にセンシティブな“節約派ユーザー”の高い支持を得ている。

 買収以降、3PARは「HP 3PAR」としてブランドを堅持したまま進化を続け、今やHPの主力プライマリストレージとして君臨している。現在では、共通OSによる統一したアーキテクチャで、300万円台のミッドレンジモデル「7200シリーズ」から、最大3.2PBまでをカバーするハイエンドモデル「10800シリーズ」までをカバーする。日本ヒューレット・パッカード HPストレージ事業統括本部 ストレージマーケティング本部 加藤茂樹氏曰く、「3PARを買収してからの出荷実績で、すでにグローバルで1万台を超えています」とのことで、すでに幅広いユーザーベースを持っているという。

日本ヒューレット・パッカード HPストレージ事業統括本部 ストレージマーケティング本部 加藤茂樹氏

 そして、今回紹介する「HP 3PAR StoreServ 7450」(以下、3PAR 7450)は、こうした3PAR製品の優れた点を引き継ぎつつ、オールフラッシュに最適化したアーキテクチャを採用している。この結果、ランダムリードで最大90万IOPSという高いパフォーマンス、1ms以下の低遅延を実現している。しかも、オールフラッシュだからといって、機能やデータ保護、拡張性などのエンタープライズの要件をあきらめる必要はない。加藤氏は「他社のオールフラッシュアレイは、性能を求めるがあまり、ストレージに必要な機能をすべてそぎ落としています。一方、HP 3PARは実績のある共通OSを用いているので、機能面でも妥協がありません」と語る。

3PARとフラッシュはもともと相性がいい

 もともと節約派ストレージのHP 3PARはフラッシュと相性がよい。フラッシュアレイで重要なのは、とにかく書き込みを減らし、フラッシュの磨耗を減らすこと。これに対し、HP 3PARは前述した「Thinテクノロジー」により、書き込むデータ自体を大幅に減らしている。また、ゼロデータを自動検出して不要な書き込みを防ぐほか、クラスター内のディスクに対して、データを均一に書き込む「ワイドストライピング」を導入している。最新OSでは、もともとデータ待避用として取っておいたスペア領域を、データの書き込み用に開放し、SSDの書き込み上限を向上させる「アダプティブスペアリング」も新たにサポート。SSDの長寿命化を徹底的に推進している。

3PARのSSD長寿命化機能

 しかも、HP 3PARでは長寿命化の効果がきちんと検証されているため、長期間の利用を前提にSSDの保証も充実させている。加藤氏は、「他社では書き込み寿命や3年程度の期間を設けており、これを超えると有償の交換になります。しかし、書き込み上限に達しても、5年以内であれば、無料でパーツを交換いたします」と語る。

 さらに、一連の処理を専用ASICで高速に行なうため、性能が落ちない。日本ヒューレット・パッカード プリセールス統括本部 ストレージ技術本部 ストレージ技術一部 シニアITスペシャリストの岩野義人氏は、「たとえば、他社の場合、ソフトウェアで重複排除を実装するため、処理に負荷がかかります。HP 3PARは重複排除の処理を、ASICで高速にインライン処理できます」とアピールする。現在は、汎用ハードウェアと独自ソフトウェアの組み合わせで製品を構成しているベンダーが主流だが、いくら多機能でも性能面で足を引っ張っていたら、利用価値は下がる。その点、HP 3PARはASICを用いることで性能面を担保しており、多彩な機能が「絵に描いた餅にならない」わけだ。

日本ヒューレット・パッカード プリセールス統括本部 ストレージ技術本部 ストレージ技術一部 シニアITスペシャリスト 岩野義人氏

 加藤氏は、「他社はHDDベースのコントローラーなので、必ずボトルネックが生じます。そのため、イチからオールフラッシュアレイを開発し直すか、新興ベンダーを買収して製品を提供しています。しかし、3PAR自体はもともと仮想化を想定しているアーキテクチャなので、フラッシュにおいても最高の機能、最適な性能が得られます」と語る。

■関連サイト

最新ホワイトペーパー「第三者機関が徹底競合比較!HP 3PAR StoreServ QoS機能の優位点とは?」をチェック!


(さらなる最適化に挑戦した3PAR 7450)


 

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