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高橋暁子の「意外と知らない!? 業界ランキング」 第10回

Facebook同様、世界はWhatsAppに塗り潰されていくのか?

LINE一強は日本のみ!? メッセージアプリの世界シェア再確認

2014年04月07日 09時00分更新

文● 高橋暁子

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日本はLINE、韓国はカカオトーク、中国はWechat

 モバイルデータ解析会社のOnavo社の調査(2013年7月)を見てみよう。日本におけるメッセージアプリのシェアは、LINEが71%、Facebookメッセンジャーが18%、カカオトーク9%、WhatsApp8%、Wechat6%となっている。LINEが70%以上という大半を占め、Facebookメッセンジャーでもわずか2割という状態だ。

 LINEが圧倒的1位で予想通りと感じるが、じつはLINEがメッセージアプリシェア1位なのは日本のみ。香港で46%、スペインで44%と利用率が高いが、LINEはそれぞれの国のシェア1位はとれていない。世界的に見ると、LINEは日本などごく一部の国でしか普及していないのだ。

 では、それぞれの国でのシェアはどうなのだろうか。韓国では、カカオトークが95%という圧倒的シェアを見せている。気になるLINEは12%。

 ちなみに、カカオトークは、日本で9%利用されているが、韓国と日本を除くとほとんど普及していないようだ。同様の状態なのが、Wechatだ。中国で82%とトップシェアを誇るが、香港で53%利用されている以外はほとんど使われていない。

LINE登録ユーザー数の推移グラフ(LINE4月2日付リリースより抜粋)

世界で人気はWhatsAppも、米国ではFbメッセンジャー

 じつは、世界で広く利用されているのはFacebookが買収したWhatsAppだ。WhatsAppは、2013年12月時点の全世界のアクティブユーザーが4億人、デイリーのアクティブユーザは3億人を超える。現在でも1日あたり100万人以上の新規登録があるという高い人気を誇る。

 たとえば、ドイツで91%、スペインで99%、イタリアで93%、イギリスで49%などヨーロッパで圧倒的。さらに、アルゼンチンで96%、ブラジルで90%、コロンビアで96%、メキシコで94%など南米でも高いシェアを握っている。その他、ベトナムでも96%となっている。

 WhatsAppが世界一と言えそうだが、この地位はけして盤石ではない。カナダ(18%)、オーストラリア(22%)でもWhatsAppが1位だが、利用率はわずか2割で、僅差で2位のFacebookメッセンジャーが続く。米国にいたっては、WhatsAppの利用率はわずか9%で、1位の座はFacebookメッセンジャーに譲っているのだ。

そもそもなぜメッセージアプリが人気?

 調査会社GlobalWebIndex社の最新版のソーシャルメディアに関するリサーチ結果によると、近年、メッセージアプリの成長が際立っているという。Facebook Messenger普及率37%(半年成長率13%)、WhatsApp同36%(同35%)、WeChat同14%(同379%)、LINE同10%(同22%)、カカオトーク同6%(同23%)などと、どのサービスも大きく伸びている。

 モバイルやスマホの普及が進み、手軽なコミュニケーション手段として人気が高まっているという面があるだろう。その他、LINEは東南アジアなどで広がりを見せているが、メッセージアプリの利用にはブロードバンドである必要がないため、そのような地域で広く受け入れられたと考えられる。WhatsAppが2年目から99セントかかる以外は通話料無料のものも多く、その点も人気が集まった理由と考えられる。

 打倒LINEとして始まったDeNAのcommも、2013年6月には運営体制を大幅に縮小している。しかし、メッセージアプリはサービスごとにそれほど大きな違いがあるわけではない。commがLINEに比べて劣っていたというわけではなく、単にLINEが先行サービスでありそれだけ多くのユーザーをつかんでいたからと考えられる。

 このようなサービスには、“ネットワーク外部性(電話や電子メールなどのネットワーク型サービスは加入者が増えれば増えるほど、一利用者の利便性が向上する)”という特徴があることを忘れてはならないだろう。

 SNSも登場当初、日本はmixi、韓国はCyworldなど、それぞれの国でばらばらのSNSが使われている状態だった。ところが、2013年時点でFacebookが世界127ヵ国(92.7%)でシェア1位をとるなど、Facebookが圧倒的シェアを握るようになった。日本でも当初はmixiがFacebookにトップの座を受け渡す日がくるとは想像もつかなかったが、今や完全にシェアのトップはFacebook、LINEに譲り渡している。

 同様にこのまま日本ではLINEがシェアを握り続けるのか、別のアプリに座を受け渡すときが来るのか、今後の動向にも注目する必要があるだろう。

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