エコシステムの構築は?
──アプリケーションのエコシステムは、どのように確立していくのでしょうか?
Engelvori 開発者は3つの方法があります。1つ目はHTML5/WebKitベース。WebKitはiOSとAndroidと同じブラウザー技術であり、開発者はiOSとAndroid向けに開発したウェブアプリを、少しの修正でUbuntuで動かすことができます。
2つ目はQt/QMLベースのネイティブアプリ。ツールキット、SDKを公開しており、これを利用して美しいアプリを開発できます。開発者にUbuntu向けのアプリを、HTML5またはQtベースにポーティングするのを呼びかけていきます。MWCの会期中、第3段となるアプリコンテスト「Ubuntu App Showdown」もスタートさせました。
そして、3つ目は「Scope」です。Ubuntuのユニークな機能で、さまざまなデータフィードからコンテンツを集めたページといえます。ISV、開発者、OEM、キャリアは1時間もしないうちにScopeページを作成できるのです。たとえば、バルセロナのシティーガイドとして観光スポットのガイド、天気情報、交通情報、ローカルニュース、イベント情報を集めてScopeページを作ることができます。キャリアなら、ユーザー向けに利用状況を把握したり、新しい料金プランやアップグレードを紹介するページを作成してもいいですね。あるいは自社が協賛しているイベントのページを作成することもできますよ。
アプリストアも用意して、デスクトップと統合します。スマートフォン向けに開発したアプリを、われわれのアプリストアで公開すれば、タブレットなど他のデバイスカテゴリでも展開できます。アプリを簡単に提供できることを説明するビデオコンテンツも用意して、アプリ開発者を奨励していく予定です。
なお、Scopeではアプリストア体験も統合しました。アプリのScopeなら、デバイス上でいま開いているアプリ、インストールされているアプリのほか、Scope上で新しいアプリやコンテンツの検索や購入が可能です。わざわざアプリストアに行く必要はないのです。
もちろん、ユーザーの多くがスマートフォンで利用したいと思っているFacebook、Twitter、Amazonなどとも話を進めている最中でして、ローンチ時にこれら人気アプリも用意します。
──第3のエコシステム作りが難しいことは、Microsoft/Nokiaの現状からも伺えます。また、新しいOSとしてはFirefox OSなども戦略を進めており、どこも「iOSとAndroidに代わる体験を提供する」と主張しています。それでも、ユーザーがUbuntuを選ぶ理由はどこにあると考えますか?
Engelvori そういった点で、Scopeはわれわれの回答の1つになるでしょう。アプリは大切ですが、平均的なスマートフォンユーザーが、実際にどのぐらいのアプリを利用しているのかとなると疑問です。ユーザーは自分の考えや嗜好をベースとしたコンテンツを探したいと思っているはず。Scopeはアプリ、音楽、動画とさまざまなコンテンツを探せます。そして開発者はシンプルなコンセプトで簡単にアプリを作成できる。ここを差別化としていきます。
Ubuntuスマートフォンの体験そのものにも自信があります。現在のスマートフォンの定番である、アプリがグリッドで表示されるインターフェイスに、ユーザーは飽きはじめているのではないでしょうか。Ubuntuは細部にこだわった美しいデザインで、全く異なる選択肢を提供します。新しいものを使ってみたいという人は、少なからずいると確信しています。
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