ついにMozillaのスマートフォンOS「Firefox OS」を搭載した端末が日本国内でも発売される。だが、”第3のOS”といわれる新しいOSはFirefox OSだけではない。
Jollaの「Sailfish OS」、Samsungらが支援する「Tizen」、そしてCanonicalの「Ubuntu Phone」がある。2014年最後は、この4種の中でいまだ端末が発表されていないUbuntuを取り上げたい。

今年6月のイベントで展示されていたUbuntuスマホのデモ機
どうやら予告されていた
2014年内のリリースはかなわず……
Ubuntuは人気のLinuxディストリビューションであり、Ubuntuを開発するCanonicalがスマートフォン向けにも拡大する計画を発表したのは2013年1月のことだ。それ以前には、Androidスマートフォン上でUbuntuを動かすことができる「Ubuntu for Android」も発表していた。
構想から数年が経過しているが、2013年、2014年とMWCなどのイベントで取材するたびに、同社はUbuntu搭載スマートフォンの登場時期を遅らせてきた。2013年のMWCでは「2014年初め」だったが、2014年のMWC「2014年内にメーカーから、2015年初めにキャリアから」に延期。このタイミングでは端末ベンダー2社との提携を明らかにしたので、”現実味を帯びてきた”感はあった。さらに6月のMobile Asia Expoでは、モバイル戦略を統括するCristian Parrino氏からかなり具体的な戦略を聞くことができた(関連記事)。
Ubuntuが提携を発表した端末ベンダーは、中国のMeizuとスペインのBQだ。だが、秋になっても2社からUbuntuスマートフォンは登場せず。そして11月末、Ubuntu情報サイトの「OMG! UBUNTU!」は、CanonicalとMeizuが「戦略的合意」を結んだと写真入りで報じた(関連リンク)。
Canonicalからの正式発表はないが、MeizuはFacebookの公式アカウントで「11月25日、CanonicalとMeizuはMeizuの本社で戦略的合意に署名した」と投稿した。写真にはMeizu幹部のLi Nan氏、CanonicalからCEOのJane Silber氏、それにCristian Parrino氏の3人が写っている。その投稿には「2社の提携からなにを期待しますか?」と書かれているのだが、端末の発売時期は明記されていない(この投稿には伏線があり、Meizuは11月に最新のフラッグシップスマートフォン「MX4 Pro」を発表、ここでUbuntuスマホはどうなっているのかという声が出ていたのだ)。
そのOMG! UBUNTU!によると、この戦略的合意のもとで中国と香港市場でMeizuと中国のキャリアが端末を提供、それ以外の市場ではSIMフリー版をCanonicalが直販するとのこと。なお、MeizuはAndroid上に独自UIの「Flyme OS」を採用しているのだが、端末はUbuntuをベースにFylme OSが動くものになるという予想を紹介している。
その後、SoftpediaはMeizuに聞いた話として、「2社は中国と国際市場で製品開発とマーケティングで協業する」「UbuntuをベースとしたMeizu MXシリーズのスマートフォンは2015年に欧州と中国で発売となる」と紹介している(関連リンク)。
そのCanonical、Meizuともに遅れの理由は明かしていない。Android Headlinesによると、MX4 Proの事前予約は2週間で670万件もあったとか。中国のスマートフォンブームもあってか、2月から10ヵ月の間のMeizuの躍進は目を見張るものがあり、Ubuntuスマホに注力する余裕がなかったのかもしれない。
(次ページでは、「スペインのBQからは来年2月に登場?」)

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