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ノーク伊嶋のIT商材品評会 第4回

中小企業向けのITサービスで全国網羅の優位を生かせるか?

サポートやPBXの実績を元に中小企業を攻めるNTT Com

2014年02月10日 09時00分更新

文● 伊嶋謙二(ノークリサーチ シニアアナリスト)

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通信キャリアの中小企業向けのITサービス(クラウドサービスも含む)を数回に渡って取り上げる。まず第一弾はNTTコミュニケーションズだ。もともとISPサービスとして中小企業には実績はあったが、ネットワークや回線などの通信インフラだけでなく、ITサービスそのものにも踏み込んだサービス、中でも訪問サービスまで行なうBizプレミアムサポートを取り上げる。

Bizプレミアムサポートは中小企業への王道のサービスなのか?

 「Bizプレミアムサポート 訪問設定サポート」はいわゆるIT担当のいない中小企業へのパソコンなどの設定を訪問して行なうサービス。もうひとつが電話やパソコンからのリモート操作でもサービスを行なう「Bizプレミアムサポート 従業員ヘルプデスク」サービスになる。訪問設定サポートは2013年1月、従業員ヘルプデスクは2013年11月からサービスを開始し、「Bizプレミアムサポート」サービスのラインナップとして両サービスを提供している。

Bizプレミアムサポートの特徴

 NTTコミュニケーションズは個人向けおよび企業向けにISPを提供しているが、その会員向けに、「OCNプレミアムサポート」を提供している。月額630円でパソコンの使い方からリモートでの定期点検を提供するこのサービスは、もともと個人向けに提供していたもの。この個人向けの訪問で得たノウハウを法人向けに提供しようと考えたことがサービス開始の背景にある。もちろん、営業過程で中小企業やSOHOからのニーズの高まりを感じたことも後押ししたようだ。

 NTTコミュニケーションズによると訪問設定サポートは、取材時である下期になって徐々に実績を上げているという。従業員ヘルプデスクは、販売開始からまだ間もないことから2014年が本格的な営業開始という段階だ。

 もともと同社には「Arcstar Universal One(アークスターユニバーサルワン)」というネットワークサービスがある。これは2011年に企業向けのネットワークサービスとして発表したものだ。既存の「Arcstar IP-VPN」や「e-VLAN」を置き換えるサービス商品として実績があった。このArcstar Universal Oneへの更改時のサポートも訪問設定サポートで行なっており、引き合いが増えているという。

 さらには訪問設定サポートは、Windows XPのサービスが終了することをきっかけとしたPCの買い替えが進んでいることで、ユーザー企業からの要望が強まっていることも追い風となっている。

地方での個別設定サービスに優位点が見える

 訪問設定サービスはあくまでも企業のパソコンなどの設置サービスであり、他のベンダーで行なっているようなITに関わるさまざまな障害などでとりあえず駆けつける型のなんでもサポートではないところがポイントだ。たとえばSOHOなどの小規模な組織でPingの設定をするようなケースを典型的な対象と想定している。つまり運用中のITサポートというより、新規で購入したPCやネット、回線などの担当者がいない企業への訪問設定サービスだ。

 なかでも地方の地場の企業もしくは大企業の支店などでのPC買い替えにともなうサポート作業が増大していたことはチャンスでもあった。つまりNTTコミュニケーションズの有する全国のサポートスタッフを生かせる点がこのサービスの強みとなるとにらんだのである。訪問するきっかけとしてWindows XPのサポート終了は非常に良いタイミングとなった。

 とはいえ、実際のターゲットはSOHOだけでなく大企業まで幅広くなっている。一般的に大企業では情報システム部門がITの運用管理を行なっているが、地方での拠点までを情報システム部門がすべてをカバーできない。そのため、大企業でも同社にサポートを実施して欲しいとのニーズがあるという。現実的には情報システム担当者が出張で地方の支店などを訪問して作業をするよりも、同社に委託したほうが安くなることもあるからだ。

 そのため訪問サービスの実績としては、首都圏・大都市のみならず地方も多くなっているようだ。また実際の営業先は、NTTコミュニケーションズの既存ユーザーだけでなく、KDDIなど他のキャリアのユーザーにも積極的に営業を行なっているという。

(次ページ、直販主体の約2000名のスタッフによる営業体制)


 

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