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「たよれーるMNS(マネージドネットワークサービス)」は、オフィスのIT機器や複合機などの訪問販売で“王道”を歩む大塚商会が中堅・中小企業向けに投入し、一定の実績を収めつつあるクラウドサービスだ。アプリケーションベースのサービス、つまりSaaSではなく「すべてのユーザーに共通するサービス/サポート」に着目してビジネス化した、大塚商会のクラウドビジネスのしたたかさを今回は見ていきたい。
売った後に始まるサービス/サポート事業「たよれーる」
PCやサーバー、MFP(複合機、MultiFunction Printer)の訪問販売と自営保守によるサポート、サプライ用品販売、システム開発、システム保守など、中堅・中小企業の情報システム周りで求められる一連の商品やサービスを、文字どおりワンストップで提供しているのが大塚商会である。
大塚商会の事業構成は(1)SI事業、(2)サービス/サポート事業の2つに大別される。このうち(2)のサービス/サポート事業には「たのめーる」「たよれーる」というブランドが含まれる。簡単に言えば、たのめーるが「WebやFAXで注文を受け付けるサプライ用品通販」、たよれーるが「それ以外のサービス/サポートプログラム」である。
■「たのめーる」
オフィスサプライ用品を中心とした通販事業が「たのめーる」だ。この事業の特徴は、同社の得意とする訪問販売ではないかたちをとり、販売管理費を抑えて一定規模の売上を計上できることだろう。同社によれば売上規模は年々拡大傾向にあり、収益面での効果は大きい。さらに、従来のIT機器やMFP販売に頼っていた新規顧客拡大のための“入口”として、新たに「たのめーる」が加わったという効果もある。
■「たよれーる」
大塚商会の安定的な売上と利益を支えるストックビジネスが、さまざまなベンダー製品の保守サービスをワンストップで行う「自営保守」のサポート契約だ。そのサポートサービス群は「たよれーる」として体系化されている。もちろんこのネーミングはワンストップで大塚商会に“頼れる”という意味であり、オンサイトのサポートや電話サポート、さらにアウトソーシングサービスなど、導入後の情報システムや企業活動を幅広くサポートする。
大塚商会の売上高の過半数は、複写機およびその派生サービスに基づくものと思われる。広く知られているとおり、複写機のビジネスモデルは、ハードウェア本体の販売利益ではなく、販売後のサポートサービス、あるいはトナーなどの消耗品の販売によって利益を確保するというものだ。これと同様に、コモディティ化によってハードウェア販売だけでは利益が出にくくなったPC/サーバーに対し、たよれーるのサービス/サポートを絡めて販売するというのが基本形となっている。たよれーるには同社オリジナルのサービスが多く、利益率が高いという背景もある。
(→次ページ、「たよれーるMNS」はクラウドサービスなのか?)

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