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ノーク伊嶋のIT商材品評会 第7回

マルチベンダー対応や回線とのアンバンドルで対象が拡がる

情シス仕事を肩代わり!NTT東日本の「オフィスまるごとサポート」

2014年07月01日 09時00分更新

文● 伊嶋謙二(ノークリサーチ シニアアナリスト)

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通信キャリアの中小企業向けのITサービス(クラウドサービスも含む)の最終回となる今回は、NTTグループのもっとも規模の大きい事業体が提供するサービスとして注目を集めたNTT東日本の「オフィスまるごとサポート」だ。

サービス誕生の背景に
何があったか?

 オフィスまるごとサポートを簡単に言えば、情報システム担当者がいない中小企業、SOHO向けに、PCや周辺機器、ネットワーク、電話などの操作方法の説明、障害時の復旧、セキュリティ対応などの業務を、他社の機器を含めて対応するサービスである。サービス開始は2010年6月30日。一連の中小企業向けの戦略ではKDDIとほぼ同時期に開始したいわゆる先陣を切ったサービスだ。2010年開始から4年を経過して、現状どこまで進んでいるか、そして今後について解説することにする。

 サービス登場の背景には、当時は光回線を販売していたが、企業にとってさらに付加価値の高い利用シーンの具体的な提案ができていなかったことがある。つまりIT機器そのものの導入は進んでおり、利用までしているものの、活用ができていないという認識であった。ここをバックアップできないかとの考えからサービスの提供を考えた。

 2010年と言えば、中小企業でも光ブロードバンドサービスの普及拡大により、ネットワークに接続可能なIT機器が増加していた。また企業の利用環境が高度化・複雑化しているため、ネットワークに接続して利用するITの故障やトラブルが発生した場合、企業自身でトラブルの原因が特定できず、復旧までに時間がかかることが増えてきた。こうした中小企業では、トラブルに対応するための担当者や部署を配置してないことが多く、外部へ委託することが前提になっている。

 この要望に応えるため、ネットワークや通信機器等の保守ノウハウ、リモートサポート技術等を活かし、光ブロードバンド回線に対応したオフィスのIT環境をトータルでサポートすることを狙ったサービスだ。

 サポート内容は、専用のサポートセンターによる問合せ受付、および電話やリモートツールによる遠隔でのパソコン周辺機器の操作、トラブル復旧等のサポート。現地における対応が必要な場合は技術担当がユーザー企業の事業所に訪問し、パソコン周辺機器、ビジネスホンなどのIT機器をサポートする。

 同社のヘルプデスクのノウハウは高く、コールしてくるユーザーをほとんど待たせることはない。背景には長年回線サービスの顧客対応のサポートを実施してきたことによる、人的な体制とノウハウ、スキルを持っているからだ。

 また、同社のフレッツ光回線に接続されたネットワークのパソコンに専用ツールをインストールすることでLAN配下にあるパソコン、電話機等の機種名やメーカー名等の情報を一元把握できる資産管理機能を持たせている。さらに、専用サーバーでパソコンのセキュリティ設定を一括管理できる機能を持っており、ユーザー企業のIT運用管理に関わる負担を軽減させることが狙いだ。

 ヘルプデスクだけでなく、オンサイトの対応も行なっている。もともと、同社にはオンサイトの修理人員を有しており、同サービスもこのリソースを活用している。従来までは、通信の保守が中心であったために、PCや周辺機器を保守できるように研修を行なったという。

情シス担当が行なう業務を
NTT東日本が肩代わり

 サービスを大きく分けると、①機器の導入・運用、②インシデントサービス、③レポーティングサービスの3つになる。

オフィスまるごとサポートの概要

 ①機器の導入支援、運用面の支援は、同社のヘルプデスクで対応。機器の設定だけでなく、ExcelやWordなどのソフトウェアの操作方法までの細かい対応である。②インシデントサービスは、IT機器のネットワーク接続状況、各機器のセキュリティ設定/管理、資産管理をするハード、ソフトの情報を自動的に収集する。③レポーティングサービスは、PCなどの設定状況、障害についての報告を行なう。見てわかるように、企業の情報システム担当が行なう業務を、NTT東日本が肩代わりしてくれるサービスといってよいであろう。

 同社は通信インフラでは世界有数の企業であり、さらには光回線では、個人向けにリモートサポートサービスを提供している。オフィスまるごとサポート提供前も、NTT東日本自身が販売した機器についてのサポートは行なっていたが、オフィスまるごとサポートの提供開始により、マルチベンダーとしてのサービス提供が可能になり、ユーザーの利便性が向上した。同社では来るべきクラウド時代の下支えになればと考えているという。

 前述の通りユーザーはSMBで、情シス担当者がいない企業、サーバーの導入がない企業、サーバーレスにした企業。1拠点20~30名以下の企業を主なターゲットにしている。NTT東日本の既存ユーザーだけではなく、新規の顧客もターゲットにしている。既存客は、NTT東日本の直販が対応するが、新規は販売委託。販売委託は、ヤマダ電機などの量販店、デルなどのPCベンダーとのアライアンスなどによる販売である。営業方法は専任の営業員ではなく、光回線、機器を販売している同社の営業員が商品の1つとして販売を行なっており、全国で数千人の体制とのこと。

 現在はSMBのユーザーを対象にしているが、今後は大企業にも提案を考えている。大企業でも、地方拠点等になると、情報システム部門の手がなかなか届きにくい。それをオフィスまるごとサポートでカバーすることを提案できるからだ。

(次ページ、デルとの協業で分かるダイレクトなユーザー企業への提案)


 

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