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既存農業のモダナイゼーションからイノベーションへ

クラウドで農業は変わるか?富士通「Akisai農場」の挑戦

2013年08月06日 07時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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施設園芸SaaSでハウス設備を制御

 今回紹介されたAkisai農場は、Akisai活用の場として、沼津工場に開設した自社農場だ。もともと沼津工場自体が開設当初から環境への配慮を重視しており、2006年には環境保全活動の継続的な取り組みから、2006年には社会・環境貢献緑地評価システム」で国内トップ水準の認証を取得している。現在も広大な敷地の約8割を緑地として保護しているほか、工場内で農園を運営し、社員食堂の料理に使っている。こうした環境保全活動の延長として、Akisai農場も作られているわけだ。

 Akisai農場では、1000㎡の露地内にハウス設備が用意され、天窓、側窓、換気扉、循環扉、カーテン、ヒートポンプなど操作を行なう環境制御BOXや温湿度、CO2、日射量、降雨などのセンサーが取り付けられている。これらはネットワーク接続されており、モバイルルーターを介して、クラウドとやりとりできるようになっている。

Akisai農場の概要

 Akisaiでは、このハウス設備の情報を「施設園芸SaaS」というクラウドサービスからチェックできるほか、異常検知時にアラートを発信。さらに、各機器のリモートコントロールのほか、設定した温度に自動制御することも可能になっている。たとえば、作物に最適な温度・湿度に保つというのが比較的わかりやすいが、日照時間が短かったら、天窓を開くといった自動的に可能になる。

 以下、写真を中心にAkisai農場を見ていく。

Akisai農場のハウス外観。軟質フィルムを用いた2連棟のハウス設備になっている

ハウス設備では「仙寿菜」と呼ばれる赤い植物が水耕栽培されている

ハウス設備内の温湿度センサー

栽培ベンチ上で水温も測定している

Webカメラで生育状態にチェック可能

養液コントローラとタンクなどの水耕設備

施設の制御を行なう環境制御システム。天窓や換気扉、側窓、カーテンなどを開閉できる

ARも導入されており、コードを読み込ませると、センサーの機能や仙寿菜の情報などを得ることができる

 ハウス設備内で栽培されている「仙寿菜」は岐阜大学の応用生物学部の大場伸也教授がバングラデシュから種子を持ち帰り、研究を始めたヒユ科の植物。高い抗酸化活性を有するほか、ビタミンやミネラルも豊富に含まれる。今回は同学部と富士通が連携し、夏の期間しか栽培していなかった仙寿菜を通年での水耕栽培するのが目的だという。

(次ページ、たとえば「美味しいトマトのテンプレート」)


 

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