マイクロソフトは、若者の機会創出を支援するグローバルイニシアチブ「YouthSpark」(ユーススパーク)を、2012年11月から日本でもスタートしている(関連リンク)。それから約半年を経過した。
プログラムの内容は、先進国や新興国など、それぞれの国において若者が置かれた状況にあわせて策定されており、日本では、「チャレンジ支援」「21世紀の学習環境づくり」「高度人材育成」に焦点をあて、3ヵ年計画として実行している。
YouthSparkの責任者である、米マイクロソフト Citizenship & Public AffairsのLori Harnickゼネラルマネージャーは、「なぜ、マイクロソフトが若者に対する支援を行なうのか。それは、就労の機会を得られないなど、若者は厳しい環境に置かれている。ICTを活用し、そうした問題を解決しなくてはならないと、マイクロソフトは考えたからだ」と語る。
日本にいると、少し理解しがたい話だが、目線を海外に向けると、Harnickゼネラルマネージャーがいう言葉の意味が理解できる。
統計的にみると、世界の15〜24歳の若者のうち、7500万人が就労していないほか、一般的な失業率に比べて、若者の失業率は2倍に達している。また、中等教育を受けられる若者は50%以下に留まり、さらに就労している若者でも、その4分の1が「ワーキングプア」と呼ばれ、限られた収入の中で厳しい生活をしなくてはならない状況にあるという。
「若者が、夢を追えないという状況を打破しなくてはならない。また、夢を追える若者と追えない若者がいるというような溝があってはいけない。この溝は、世界全体の大きな損失。よりよい未来を作るためには、若者が大きなチャンスを得られるようにしていく必要がある」と、YouthSparkの基本的な狙いを話す。
全世界約5万のNPOに対する支援、ソフトウェアの提供や助成金、
社員によるボランティア活動を展開
マイクロソフトは、「世界中の人々が持つ可能性を最大限に引き出すための活動を行なう」というミッションを掲げて、世界各国で積極的な企業市民活動を行なっている。
その内容は、「責任ある企業として活動」と、「様々なコミュニティへの支援」に分けられる。YouthSparkの活動は後者にあたり、NPOへの支援、自然災害発生時の支援体制、社員が支援に携わるための各種プログラムとともに重要な活動の柱のひとつに位置づけられている。この領域では、全世界約5万のNPOに対しての支援のほか、ソフトウェアの提供や助成金、社員のボランティア活動などを通じて、年間10億ドルもの支援を行なっているという。
「マイクロソフトは、30年間から、社員が企業市民活動に関われるようなプログラムを用意している。ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーが率先してこの活動を支援し、それが全世界の社員に広がっている。東日本大震災の際にも、多くのマイクロソフト社員がボランティアを行なった」と語る。
YouthSparkは、「エンパワーメント」「創造」「夢の実現」といった3つの柱で構成され、これらを通じて、Office 365の無償提供や、マイクロソフト主催のIT技術コンテスト「Imagine Cup」の開催、設立5年未満の会社を対象にマイクロソフトの開発ツールなどを無償で利用できるBizSparkなどが提供される。
「Office 365でITに触れ、Imagine Cupを通じてソフトウェアを実際に作り、それをもとに起業をするといったように、それぞれの成長にあわせてプログラムを活用できる」というわけだ。

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