米マイクロソフトのCFO(最高財務責任者)にエイミー・フッド(Amy Hood)氏が就任した。同社で、女性がCFOに就くのは、フッド氏が初めてとなる。

米マイクロソフトのCFO(最高財務責任者)、エイミー・フッド(Amy Hood)氏。同社で女性がCFOに就くのは、フッド氏が初めて
フッド氏は、2002年12月にマイクロソフトに入社。241億ドル(約2兆4000億円)の売上高を持つマイクロソフトビジネスディビジョン(MBD)の財務責任者を経て、今回のCFO就任となった。
MBDでは、Office 365のビジネス拡大を財務面からサポート。財務体質の強化や、新たな運用管理を提供するといった支援のほか、SkypeやYammerといった重要な買収でも手腕を発揮した。
マイクロソフト入社前は、ゴールドマン・サックスに勤務。デューク大学卒業、ハーバード大学で経営学修士号を得ている。
女性幹部の登用に積極的なマイクロソフトを象徴する人事だといえる。
日本マイクロソフトにおける女性の幹部登用
では、日本マイクロソフトにおける女性の幹部登用はどうなっているのだろうか。
現在、日本マイクロソフトには、代表執行役である樋口泰行社長を除いて、12人の執行役がいるが、そのうち女性執行役は、カスタマーサービス&サポートゼネラルマネージャーの佐々木順子氏と、人事本部長の佐藤千佳氏の2人となっている。6分の1が女性というのは高い比率だといえよう。
また、業務執行役員にはマーケティング、法人営業をはじめとして6人の女性が活躍しているという。
日本マイロソフトでは、これら女性役員を、女性社員のキャリア形成における「ロールモデル」とも位置づけているようだ。
日本マイクロソフトに勤務する女性社員にとって、IT業界において、どんなキャリア形成をすべきかといったことを、彼女達の取り組みを通じて、間近に感じ、学び、考えることができるといえよう。
日本マイクロソフトでは、産前産後休暇、育児休業、育児時短に加えて、家族の病気などの際に利用できる看護休暇も用意。次世代育成支援対策推進法にのっとった子育てサポートにも取り組んでいる。それに併せて、在宅勤務制度やフレックスタイム制度、社会貢献活動を支援するためのボランティア休暇などを実施。女性をはじめとして様々な環境の社員が働きやすい職場づくりを目指している。
日本マイクロソフトならではの仕組み
このほかにも、日本マイクロソフトならではのいくつかの仕組みがある。
働くお父さん社員、お母さん社員を対象に、「ワーキングペアレンツ コミュニティー」を開催。同コミュニティー100人を超える社員が参加し、悩みや体験談などを共有。社内ホームページで出産や育児に関する情報を公開するといった情報交換を行なっている。
また、ダイバーシティフォーラムでは、「ライフステージの変化と働き方」「キャリア形成と働き方」といったテーマでディスカッションを行ない、社員ひとりひとりの働き方を理解し、尊重することを目指すという。ここでは、社外のゲストスピーカーを招き、自分自身の働き方やライフスタイルを見詰め直す場ともしている。
このダイバーシティフォーラムは、2005年に「ウィメンズカンファレンス」としてスタートしたもので、「女性がより自分らしい働き方をしていくためには、女性に限定せずにより広い視野で議論したい」という参加者の声を反映して、現名称に変更。男性の参加者も交えて議論する場にしているという(ダイバーシティーとは、多様性を意味する言葉。人種/性別/国籍/年齢などの違い/多様性を、競争力の発生源とするマネジメント/ビジネス戦略を構築しようとするアプローチ)。
さらに、エンジニアを対象にキャリアや働き方など、女性を中心としたコミュニケーションやネットワーキングの場を提供するイベントとして、2006年からWomen in Technologyを実施。日本マイクロソフトが毎年主催しているテクニカルカンファレンス「Microsoft Tech・Ed Japan」においては、この活動を通じて課題となっているテーマごとに、ラウンドテーブル型ディスカッションや参加者同士の意見交換会などが行なわれている。

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