今こそ真価を発揮するData ONTAPのスナップショットとは?
仮想化やDBベンダーに愛される「スナップショット」成功物語
2013年02月25日 06時00分更新
2月13日、ネットアップは定例のストレージ勉強会を開催した。3回目となる今回のお題はData ONTAPの代名詞ともいえる「スナップショット」。ネットアップの河西 学氏がData ONTAPでのスナップショットと最新動向について詳細を解説した。
Data ONTAPのスナップショットはここが違う
スナップショットとは、データがディスク上のどのブロックとして書き込まれているかというポインタを記憶しておくことで、世代管理を行なう機能。データ自体を読み書きするのではなく、あくまでリンク情報のみを保持するので、効率的なオンラインバックアップとリストアが可能になっている。ネットアップのストレージ「FASシリーズ」に搭載されているData ONTAPでは、高速なNFSアプライアンスとして登場した当時から、このスナップショットがサポートされている。
ネットアップ 技術本部 ソリューションSE部 部長 河西 学氏によると、もともとスナップショットはData ONTAPを支えるWAFLの副産物として生まれた背景があるという。
追記型のジャーナリングファイルシステムであるWAFLは時系列で書き足す形でデータを記録するが、通常のファイルシステムはデータを更新する場合、ブロック自体を書き変える。「ノートに字を書いて間違って書いた場合、WAFLは×を付けるだけだが、他のファイルシステムでは消しゴムで消してしまうというイメージ」(河西氏)というわけだ。
その結果、WAFLと通常のファイルシステムではスナップショットの取り方に大きな差異が生まれる。前述の通り、WAFLはもとのブロックを一定時間残したまま追記するタイプなので、世代管理が可能になる。そのため、ある時点の状態を覚えておけば、パフォーマンスに影響を与えることなく、オンラインバックアップとして利用できる。Data ONTAPでは、この「Point In Time」という方式により、最大255世代のスナップショットを取得でき、しかもI/Oのオーバーヘッドが生じない。
一方、通常のファイルシステムでスナップショットを取得する際には、書き換える前のブロックを別途スナップショット領域にコピーする「Copy on Write」という方式になる。つまり、スナップショット取得のためにHDDのヘッドが動くので、I/Oのコストがかかるわけだ。河西氏は、「スナップショットの取得時にパフォーマンスインパクトが生じることは、他のベンダーも明言している」と述べ、明確な差別化ポイントとなっている。
この方式の違いは、当然リストアにも大きな影響を与える。他のファイルシステムではスナップショット領域からデータをコピーしてくる必要があるので、時間がかかる。一方、Data ONTAPの「Snap Restore」では、ポインタを一括で戻すため、数分で過去のデータに戻せるという。500GBのファイルシステムであれば、2分でリストアが完了するとのこと。「リンクを張り替えるだけなので、10TBのデータでも数分~数十分で戻せます。たとえば、巨大な設計データを扱っている製造業のお客様は、この機能を重宝して使ってくれています」とのことで、ライセンス商品でありながら導入率はきわめて高いという。
さらにData ONTAPでは筐体間でのレプリケーションを実現する「Snap Mirror」でも、このスナップショットの技術を応用している。Snap Mirrorではスナップショットをベースに差分ブロックのみを別筐体に転送する。そのため、ハードウェアや回線を抑えたレプリケーションが実現でき、障害時の切り替えにおいても迅速にデータを戻せる。
これに加え、「他社と異なり、ハイエンドからエントリモデルまで同じSnap Mirrorの機能が使える。また、普段と変わらないオペレーションで復旧できるので、とにかく簡単で助かったと評価されている」(河西氏)という特徴があり、数あるData ONTAPの機能の中でも特に使われているものだという。
(次ページ、仮想化環境でのスナップショットの価値)

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