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止められないクラウドに「clustered Data ONTAP」第3回

クラウド事業者のストレージ運用負荷を大幅に軽減!

clustered Data ONTAPで止まらないクラウドを目指すIIJ

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性能と容量をノンストップで拡張可能なネットアップの「clustered Data ONTAP 8.2」。クラウドサービスに最適なこのストレージOSの実力に早くから気がついていたのが、「IIJ GIO」を展開するインターネットイニシアティブ(IIJ)だ。

クラウドインフラの構築でData ONTAPを再評価

 2009年、国産クラウドサービスとしては先鞭を切ってスタートした「IIJ GIO」。エンタープライズでの利用に耐えうる信頼性、高いコストパフォーマンス、SIer・NIerとしての豊富な実績を売りに、顧客数はすでに1000社(2013年9月時点)を突破している。

 IIJ GIOでは以前からネットアップのストレージを採用していたが、2013年には新たにストレージOSとして、clustered Data ONTAP 8.2を採用した。ネットアップのストレージであるFAS/Vシリーズに搭載されるclustered Data ONTAPでは、複数台のFAS/Vシリーズをクラスター化することで、高い信頼性と拡張性を実現している。

 IIJ GIOでは、clustered Data ONTAPを利用することにより、主力のIaaSである「IIJ GIOコンポーネントサービス」を中心に、PaaS、SaaSなど多彩なサービスのために「FAS 3250」のリソースを切り出して提供しているという。

 IIJ サービス戦略部 GIO 企画課 課長代理 土岐田尚也氏によると、「従来はサービスごとに別々にサーバーやストレージなどの設備を整備していましたが、そうするとすべての部署にストレージエンジニアを配置しなければなりません。ですが、最近ではプラットフォームサービズ部から各サービスへストレージを切り出すことが増えているんです」という。たとえば、ファイルサーバーサービスならCIFSボリューム、SaaSのファイル置き場としてはNFSボリュームといった具合に、ユニファイドストレージならではの柔軟さがこのような体制を可能にしているわけだ。

IIJ サービス戦略部 GIO 企画課 課長代理 土岐田尚也氏

マルチテナントの必要性からData ONTAPを導入

 IIJがネットアップのユニファイドストレージであるFASシリーズを導入したのは、IIJ GIOがスタートした直後の2010年にさかのぼる。もともと同社は以前からリソースオンデマンドの「IBPS」というサービスを展開しており、共有ストレージをブロックであればLU(Logical Unit)単位で、ファイルであればボリューム単位でユーザーごとに提供していた。しかし、IIJ GIOの立ち上げとともにインフラを再検討した結果、IIJ GIOでは、これまでにない多数のユーザーでストレージを共用するためマルチテナントにより発生する課題の抜本的解決が必要となった。IIJ プラットフォーム本部 ストレージ技術課 課長代理の山本裕介氏は、「お客様ごとにいろいろなプロトコルが使われていましたし、さらに、お客様ごとにプライベートIPアドレスを持ち込んでも重複しないようにする必要がありました」と語る。

IIJ プラットフォームサービス部ストレージ技術課 課長代理 山本裕介氏

 こうした課題から選定されたのが、ネットアップのFASシリーズだ。clustered Data ONTAPの前身にあたる「Data ONTAP」では、1つのストレージを複数の独立した論理パーティションである「vFiler」に分割する機能を以前からサポートしていた。このvFilerを用いて、より高度なマルチテナントを実現しようと考えたわけだ。

 IIJのサービスでは、FASシリーズに関しては、IIJ GIOの提供開始以前には導入実績はほとんど存在しなかった。しかし、「個別のシステムインテグレーションの案件でIIJがお客様の要件にあったストレージ製品を選定すると、ネットアップが採用されているケースが多かったのです。そこで改めてData ONTAPを調べてみると、クラウドサービスを構築するのに“これ使えるんじゃないか?”という機能がかなり搭載されていたのです」(山本氏)とのこと。オンプレミスで名を馳せたData ONTAPに久しぶりに触れたら、実はクラウドインフラ向けの機能が充実していたわけだ。こうしてData ONTAPを再評価した結果、導入を決めたというわけだ。山本氏は、「7-Modeではコマンドも直感的ですし、APIが充実しているので、自動化がしやすいというメリットもありました。性能やコストも重要ですが、“手離れのよい”システムを考えると運用しやすさは重要です」と、ストレージ選定の要件について語る。

 サービス戦略を手がける土岐田氏の立場から見ると、価格と信頼性のバランスが重要だったという。「マルチテナントのストレージにお客様を収容するに当たっては、無駄なく効率よく収容して、ストレージの契約稼働率をいかに最大化していくかが大きな課題です。遊んでいるリソースはそのままコストに跳ね返ります。私たちはつねにお客様に安価にサービスを提供したいと考えています。しかし収容効率が悪いと、お客様に還元ができないですし、さらにIIJにとっても損失になってしまいます」(土岐田氏)。しかし、単に価格が安いだけでは、信頼性が落ちてしまうとサービス品質の劣化につながる。クラウド事業者によっては、コストを下げるためにストレージアプライアンスの導入を見送っているところもあるが、IIJ GIOでは信頼性を担保しつつ、機器以外のコストを削減することが可能であるネットアップのようなアプライアンス製品を使い続ける価値があったという。

クラスターの切り替え時間が課題に

 こうしてFAS/Vシリーズを導入したIIJではあったが、クラウドサービスで利用するにあたっては、クラスターの切り替え/切り戻し(テイクオーバー/ギブバック)に時間がかかるのが問題になってきた。7-Modeでは、vFilerを追加するごとにテイクオーバーとギブバックの時間が長くなってしまう。「テイクオーバー/ギブバックで2分間ストレージとつながらない時間が発生した場合、無停止を謳っていても、使用しているお客様のミドルウェア、アプリケーションでは応答がない状態となり、結果、お客様システムに影響を与えてしまいます」(山本氏)とのことで、限りなく無停止でサービスを継続できるストレージを探していたという。

 IIJがここまでノンストップにこだわるのは、顧客であるエンタープライズの企業がダウンタイムに対して特にセンシティブであるという背景がある。土岐田氏は「IIJ GIOでは、従来からお客様が所有しているオンプレミスシステムをそのままクラウドに移行したいというニーズが多いです。しかしこうしたシステムで稼働しているアプリケーションの多くは、クラウドの特性である冗長性やスケーラビリティが意識されて設計されておりません。そのため、システム障害のシングルポイントが存在する場合が多く、システムの可用性を高くするためにはインフラ自体が堅牢である必要があるのです」と語る。インフラは5年経てば陳腐化してしまうが、業務アプリケーションのライフタイムはどんどん伸びている。しかし、業務アプリケーションの改修にコストをかけられないので、インフラのダウンタイムを意識せざるを得ないというわけだ。

 こうした中、2012年にネットアップの技術者向けイベントで山本氏が出会ったのが、当時Cluster-Mode(C-Mode)と呼ばれていたclustered Data ONTAPだった。そして、実際にclustered Data ONTAPを触ってみたところ、7-Modeの悪いところが直っているという印象を受けたという。

 当時IIJでは製品リプレースのタイミングに差し掛かっており、2013年はストレージ選定のタイミングだった。山本氏は、「サービスを無停止で継続できるCluster-Modeを検証してみたら、業務への影響が格段に小さくなることがわかったのです。社内では7-modeで蓄積したノウハウもありましたので、新たにCluster-Modeを採用するにはハードルがありましたが、将来的に運用管理、メンテナンスが楽になる選択をしようということで、clustered Data ONTAPの採用を決定しました」と語る。こうして2013年末にclustered Data ONTAPを搭載したFAS 3250を導入し、各種サービスへの適用を開始し始めたという。

(次ページ、無停止サービス、QoS、フラッシュなどさまざまな魅力)


 

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