このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第11回

マイナスのデザイン すぐ感動できるパッケージとは

2013年02月22日 09時00分更新

文● 前田知洋

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

パッケージの分類 ラッピングとコンテンツの関係

 電化製品などを買うと、パッケージに商品イメージが印刷されているものがある。開封しなくても「こんなクールな商品がはいっていますよ」という外側も宣伝広告として利用するする宣伝広告型パッケージだ。コンテンツでいえば、書籍や雑誌に近い。最近はニュース記事でも、本文の引用と書影(しょえい:本の外観)を用いられることが多い。ただ「買ってみたら、中身が期待や想像と違っていた」なんてこともあるのが難点かも。

 もう1つは、シースルー型。商品の質感や色などを直接見せて、中身を知ってもらうスタイルだ。その反面、デザインにかなり気をつけないと高級感がややなくなることや、熱圧着された頑丈なパッケージには、開けるのにハサミやカッターが必要になるのがマイナスかも。インターネット・コンテンツでいえば、一部は読めるけれど、「もっと読むには会員登録が必要です」とアラートが出るコンテンツに似ている。

 最後は、ブラインドパッケージ型。箱にはブランド名だけで、具体的には何が入っているかはわからないタイプ。コンテンツならメルマガに相当する。この場合、ブランドは著者に相当するので、ある程度名前が知れられているか、よほどの評判にならないと上手くいかないことが多い。

 こんなふうに目的に合わせて、コンテンツのラッピングを考えてみると、サイト構造や「情報を提供される楽しみ」のヒントになるかもしれない。

英国王室御用達だったMacfarlane, Lang & Co Ltdのビスケットが入っていたブリキ缶

サプライズなラッピング

 友人のアメリカ人が、長く付き合った彼女にプロポーズをすることにした。彼は、彼女が寝ている間に、指に石鹸水を塗ってプロポーズの指輪をコッソリとはめておいた。彼女は目が覚めて、しばらくすると、自分の左手の薬指にある見慣れない指輪を見て感激したらしい。その話を聞いて、僕は友人に「もし、彼女がプロポーズを承諾しなかったら、どうするつもりだったの?」と質問した。彼は「もし、返事がNoだったら、指輪をテーブルに置けばいいだけさ」と答えた。それは、ブランドのロゴも箱もないプレゼントだったけれど、そこにはサプライズという演出、見えないラッピングが施されている。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、(株)ビジスパからメルマガ「Magical Branding-セルフブランド活用法-」を配信中。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ