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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第7回

今も猛威をふるう詐欺、じつは400年前にもあった!?

2012年12月21日 09時00分更新

文● 前田知洋

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 携帯電話やATMなどが使われていることから、21世紀型の犯罪だと思われがちな「振り込め詐欺」。そのルーツは意外と古い。

 「スパニッシュ・プリズナー」と呼ばれる手紙を使った詐欺は、歴史の中で多くの被害者を生んだ。いろいろなバージョンがあるが、多くのものは「刑務所で投獄されています。お金を送ってくれれば、看守を買収して出所できる……」というストーリー。

 報酬は「実家がお金持ちなので刑務所を出られたら多額のお礼をする」から「隠している財産の一部をあげる」「宝石を渡す」など。そんな言葉につられて、手紙の受け取り主が小切手や現金を送ってしまうケースが後をたたなかった。囚われている場所も、メキシコ、キューバ、アメリカ、トルコなど、国によって様々な亜種があり、400年くらい前から始まったと言われている。

騙される背景

 多くの被害者を出し続けている理由は、「誰かの役に立ちたい」という被害者の心がある。だから普段から家族とコミュニケーションの少ない年配者層に被害が多かった。これは現代の振り込め詐欺も全く同じだ。

いつの時代も、親は、自分の子はまだ子供と考えてしまうもの

 「息子/娘は、『大人になった』なんて偉そうに威張っているけれど、頼りないところがあるに違いない」なんて思ってしまう優しい親心につけ込むのは古典的な詐欺と変わらない手口だ。

 400年前からスパニッシュ・プリズナーにヨーロッパやアメリカの人々が騙されたのは、「当時の外国をよく思っていなかったという背景もある」と分析する人もいる。詐欺師からの手紙を読んで「あの国なら、そんなことも起こりそうだな」という想像が手紙の信憑性を増している。

 振り込め詐欺が大きく被害を及ぼした理由は、もう1つある。人間はウソをつくときに声の音程が高くなり、早口になる。インチキ臭い電話の勧誘を受けたことがある人ならわかると思うが、誰かを騙そうとしてる人、緊張してる人の声はワントーン高くなり、早口になる。喉で声を作る声帯も筋肉だし、呼吸の速度をコントロールする横隔膜も筋肉だからだ。

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