「Windows 8」が発売されて約50日を経過した。
しかし、予想外の傾向がみられている。それは「Windows 7」の在庫が市場に多く残っており、Windows 8発売以降、依然として売れ筋の主力となっているのがWindows 7搭載PCなのである。
BCNの調べによると、11月のOS別の販売台数シェアは、Windows 7搭載PCが77.2%を占めており、Windows 8搭載PCはわずか16.9%に留まっているのが実態だ。
もちろん、日本マイクロソフトにとっては、Windows 8を搭載した新たなPCが売れてほしいというのが本音だろう。
しかし、視点を変えて、マイクロソフトの狙いが、Windows 8全体としての普及、あるいはWindows PCそのものの広がりという点にフォーカスするのならば、Windows 7の売れ行きが好調なことは、歓迎すべきことだという判断もできる。
というのも、Windows 7搭載PCの販売が好調なことは、結果としてWindows 8の普及を加速することになるからだ。
Windows 8普及のための手立て
Windows 8の普及という点では、3つの手立てがあるといえよう。
ひとつは、Windows 8搭載PCの販売促進だ。これは、日本マイクロソフトのマーケティング戦略の中軸となるものだ。タッチ機能など、Windows 8ならではの体験を実現する選択肢だといえる。
ふたつ目が、既存のWindows 7ユーザーに対して、パッケージによるアップグレード版を提供し、Windows 8へとアップグレードしてもらうという手だ。
実は、Windows 8の発売以降、日本マイクロソフトはこの取り組みに力を注いでいる。
たとえば、アップグレード版は、2013年1月31日までの期間限定でパッケージを6090円で提供。さらに、ネットを通じたダウンロードでは3300円でのアップグレードを可能としている。通常価格の2万7090円から大幅な価格引き下げのキャンペーンを実施しているのだ。
これによって、既存のWindows 7ユーザーが、Windows 8へと移行しやすい環境を実現している。
日本マイクロソフトの説明では、Windows 8は、Windows 7に比べてOSやアプリケーションの起動時間などのパフォーマンスやバッテリー持続時間を大幅に改善していることから、現在、Windows 7が動作しているPCにWindows 8を入れるだけで、そうしたメリットが享受できるという。
当然、タッチ機能などは使えないことになるが、Windows 8に対応した新たなマウスを購入するといった手法で、Windows 8特有の横スクロールなども対応できる。周辺機器との組み合わせがWindows 8環境での操作性を実現することにつながる。
そして、最後の取り組みが、Windows 7搭載PCの販売を促進することである。これは日本マイクロソフトが、積極的に展開しているわけではないが、実際、量販店店頭ではこれが重要な施策となっている。

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