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進化が止まらない!AWSの最新動向

エンタープライズで導入が進むAWSの副社長にインタビュー

コードの前にプレスリリース?AWSがつねに先進的な理由

2012年10月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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世界最大のクラウド事業者であるAmazon Web Services(以下、AWS)は、先進的なサービスを次々と展開し、クラウドならではの魅力を追求し続けている。AWSがイノベーションを続けられる理由はなにか? 米Amazon Web Services LLC 副社長のアダム・セリプスキー氏に聞いた

もはや「コスト削減」だけがメリットではない

 AWSの東京リージョン設立は、日本のIT市場に大きなインパクトを与えた。あれから1年が経過し、東京リージョンは初年度としては世界最速の成長率を遂げ、エンタープライズでの導入も加速。先日開催された「AWS SUMMIT 2012」では、内外数多くのユーザー事例が披露された。動画配信大手のネットフリックスやNASAのほか、製薬会社のファイザー、石油会社のシェル、フランスの国営鉄道会社のチケットシステム、韓国のサムスンなど、多くのシステムがAWS上で動いている。こうした顧客層の変化について、セリプスキー氏は、「ユーザーはクラウド上のセキュリティモデルをきちんと検証し、オンプレミスとのコスト比較も行なった。それらを受け入れた結果として、導入を決定している」と述べた。

米Amazon Web Services LLC 副社長のアダム・セリプスキー氏

 「クラウド=コスト削減」というのが常識だったのも今や昔。多くのユーザーがコスト削減以外のメリットに気がつき始めたようだ。セリプスキー氏は、AWSが企業に提供するメリットについて聞くと、「確かにコスト削減の効果は非常に大きい。サムスンはクラウドの導入により、70%のコスト削減を実現できたという調査を披露している。しかし、個人的な意見では、企業にとってのクラウドの真の価値は、俊敏性を高め、お客様のイノベーションに貢献できるということだ。ある製薬会社の研究機関は今まで4~12週間待たなければならなかったサーバーの調達がAWSにより、数分でできるようになった。これにより、新薬の開発をいち早く進められるというわけだ」と語る。

 また、AWS SUMMIT 2012初日のテーマとなった「GO GLOBAL」も大きなメリットだ。セリプスキー氏は、クラウドによってグローバル展開を進めている企業として、北米のシステムを他のリージョンに展開しているネットフリックスのほか、新聞の国際版を配信している朝日新聞社やソーシャルゲーム開発を手がけるグループスなどの国内事例を挙げた。

いわゆる「ロードマップ」が存在しない理由

 AWSがサービスをスタートさせた6年前に比べ、競合のサービスも増えた。しかし、他社に追従を許さないのはなにか? セリプスキーは価格設定やサービスの柔軟性のほか、イノベーションのスピードを挙げた。セリプスキー氏は、「従来の企業に比べてイノベーションを遂げるスピードが何倍も速いとお客様から評価されている。2011年だけでも80以上の新サービスや拡張をリリースしている。今年は、8月の時点ですでに60以上の新機能を提供しており、そのペースは加速するばかりだ」とアピールする。

「われわれはユーザーのニーズが先にある」(セリプスキー氏)

 なぜ、こうした継続的なイノベーションが可能なのだろうか? セリプスキー氏は、イノベーション企業を謳う会社が、必ずしも顧客が喜ぶ製品やサービスをリリースしているわけではないと指摘する。「われわれはユーザーのニーズが先にある。たとえば、開発者には、コードを書く前にまずプレスリリースのサンプルを書いてみろという。そうすると、自分たちがコードを書いた結果、どのような価値を提供できるかを明確にできる」という。製品ができたあとにリリース書きに頭を悩ませている日本の企業の、まさにまったく逆のことをやっているわけだ。「考え得る限りのチャネルからパートナーやお客様の声を取り込み、製品開発に活かしている。また、大規模なサポートチームからもさまざまな声が上がってくる。そして、他社との重要な違いは、声を聞いてどうするか?という点だ。われわれはフィードバックを製品開発のプロセスの中に取り込んでいる」(セリプスキー氏)。

 新サービスのロードマップはないのかとよく聞かれるが、「そんなものはない。業界の動向をチェックし、顧客の声を聞きながら、プロジェクトの優先順位をダイナミックに変えているからだ。同時に顧客のニーズを先回りするようなサービスも提供している。この両輪を回せる能力が、弊社の強みだ」(セリプスキー氏)とのこと。このスピード感がまさにAWSの原動力になっているといえるだろう。

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