AWSリソースのみの料金で利用可能
JavaとPHPコードを展開できるAWS Elastic Beanstalk開始
2012年04月25日 06時00分更新
4月24日、アマゾンウェブサービス(AWS)は、PHPとJavaコードをアップロードすることで、迅速にWebサービスを提供できる「AWS Elastic Beanstalk」を東京リージョンで開始した。ロードバランシングや監視も自動的に実施され、設定もWebブラウザから行なえる。
ロードバランシングや監視も自動構成する
AWS Elastic Beanstalkは、アプリケーションをAWS上に迅速に展開できるいわゆるPaaS(Platform as a Service)で、米AWSが2011年の1月にはJava対応、2012年3月にPHP対応を発表。本日付で東京リージョンでの使用が可能になった。
発表会において、アマゾンデータサービスジャパン 技術統括部長 玉川憲氏はWebアプリケーションの展開はクラウドによって構築が容易になったが、負荷が増大した際の対応がまだまだ難しいと指摘した。AWSでもロードバランサーでEC2の仮想サーバーを振り分けることも可能だが、「クラウドで対応できるが、手間はかかる。これを簡単にしてくれるのがAWS Elastic Beanstalk」と述べた。
AWS Elastic BeanstalkではJavaやPHPのコードをそのままデプロイできるほか、ロードバランサーによる仮想サーバーの振り分けや負荷増大に対するオートスケール、監視やメール通知、ログ取得、セキュリティ設定までをすべて自動で行なう。また、この環境を自動で構成・維持していくので、「インフラの知識を持たないエンジニアでも、JavaやPHPのコードを挙げるだけでサービスを展開できる」(玉川氏)という。Webコンソールで主要な設定が行なえるほか、AWS Toolkit for Eclipseなどを使って、開発環境から直接デプロイすることも可能だ。
ユーザーはこうした内部構成を意識しないで済む一方、直接仮想サーバーにログインして構成変更を施すことも可能になっている。玉川氏は、こうした透明性を車に例え、「通常、車を運転するのにエンジンについて知る必要はないが、必要に応じてボンネットを開けてエンジンをチューニングすることができる」と説明した。
AWS Elastic Beanstalkはコンテナとして、Javaに対してはTomcat 6と7、PHPに対しては5.3をサポート。また、GitによるデプロイやIAMによるアクセス制御などにも対応する。利用した環境を保存しておき、他に使い回すことができるほか、テスト/本番環境でURLをスワップすることも可能になっている。
AWS Elastic Beanstalk自体の料金は無料で、利用するAWSの仮想マシンなどのリソースに対してのみ課金される。顧客のニーズにあわせて、対応言語は増やしていく予定。

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