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スケールアウトNAS「アイシロン」のすべて 第2回

従来型NASではずいぶん損をしていた?

実効容量とTCOで見るアイシロンのお得度

2012年10月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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200TBが必要なのに432TBの物理容量を用意?

 テクノ・システム・リサーチでは200TBの実効容量を持つシステムにおいて、従来型NASとアイシロンの2機種(X200とNL400)を比較し、そのコストパフォーマンスを検証した(図7)。

図7 従来型NASではなんと全体の1/3が容量面でのオーバーヘッドになる

 これを見ると、従来型NASでは物理ディスク432TB中、実効容量は246TBに収まる。全体の33%はディスクのホットスペア、RAIDのパリティ領域、内部管理用の領域。また、実効容量のうち10%程度がバッファや未使用領域になってしまう点にも注目したい。拡張性に限界のある従来型NASでは、容量が大きくなるとボリュームを複数にしなければならず、どうしてもバッファや未使用領域が生じてしまう。総じて、従来型NASでは物理容量のうち1/3がオーバーヘッドになってしまうことになる。

 これに対して、アイシロンは2機種ともオーバーヘッドをなんと20%台にまで抑えている(図8・9)。36TBのX200ノード8台でN+2 : 1の構成にした場合のオーバーヘッドは全体の21.5%。また、ニアライン用途のNL400は72TBノード5台でN+2 : 1構成にした場合のオーバーヘッドは全体の28%になる。「X200は8ノード、NL400が5ノードで構成しています。ですから、8ノードのほうがパリティの利用効率が高いので実効容量が上がっています」(池田氏)。

図8 Isilon X200であれば、20%強のオーバーヘッドにとどめられる

図9 Isilon NL400では28%程度になるが従来型NASより効率的

 3機種の利用状況の内訳を見てみよう(図10)。まずRAIDを用いず、複数ノードでデータの冗長性を確保するアイシロンの場合、パリティが半分で済み、ホットスペアも必要ない。また、OSやファイルシステムなどの内部管理領域も従来型NASの4割程度に収まっているのがわかる。さらに未使用領域やホットスペアが不要なのも実効容量向上に一役買っている。単一のファイルシステムで容量を拡張できるアイシロンの場合、複数のノードにまんべんなく分散書き込みを行なっているため、無駄な未使用領域が発生せず、ディスクの利用効率はきわめて高い。

図10 従来型NASとアイシロンの2機種との比較

 池田氏は、「実効容量を見ると、従来型NASは57%程度に過ぎないのですが、アイシロンは70~75%、ノード数が増えれば80%以上に上ります。使用方法や構成にもよりますが、概してスケールアウトNASは実効容量が高い製品といえます」と語る。

 このように物理容量ではなく、実効容量という観点で見ると、アイシロンは従来型NASに比べて優れていることがわかる。パリティやホットスペアなどはデータ保護という観点で必須だが、従来型NASでは実効容量を圧迫してしまうわけだ。

(次ページ、実行容量が下がるとコストにも跳ね返る)


 

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