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VMwareと使うストレージはスケールアウトNASで!

アイシロンはスケールアウトNASの強みを訴求しきれるか?

2010年12月08日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月7日、アイシロン・システムズ(以下、アイシロン)は都内で「ユニファイドスケールアウト ストレージ」に関する勉強会を開催した。EMCの買収計画により業界からの注目を集める同社が、改めて立ち位置を明らかにするイベントとなった。

スケールアウトNASの強みを再確認

 アイシロンは、容量とパフォーマンスを並列的に増やせるスケールアウトNASのパイオニア。勉強会の冒頭、日本法人の代表取締役社長のティム・グッドウィン氏は、アイシロンの最新動向について説明した。

アイシロン・システムズ 代表取締役社長のティム・グッドウィン氏

 昨年から黒字化を実現したほか、強固な財務体質や好調な第3四半期の売り上げについてもアピール。顧客に関しては「10年前はアイシロンのようなストレージは必要なかった。しかし、非構造データが急増し、1PB以上のお客様も増えてきた。こうしたお客様は容易な管理を求めている」と分析。「以前からメディア&エンタテインメントの分野が強かった。米国ではライフサイエンス系、日本では製造業が強い。この2~3年で他の業界にも拡がっている」と顧客の拡がりについてもアピールした。

アイシロン・システムズ マーケティング本部の武堂 貴宏氏

 次にマーケティング本部の武堂 貴宏氏が、仮想化環境でのストレージをテーマにアイシロンのアーキテクチャや差別化ポイントについて解説した。まず同氏は、従来のNASとアイシロンのスケールアウトNASの違いについて整理。「アイシロンのスケールアウトNASは、従来のNASに比べてシンプルであることが最大の特徴。インストールや拡張、管理がシンプル。これに尽きる」と述べた。

シンプルさこそがスケールアウトNASの最大のメリット

分散型ファイルシステムによって単一ボリュームを提供

 具体的には、従来のNASではコントローラとディスクが分離され、管理や容量に限界があるのに対して、アイシロンはコントローラ自体を内蔵した複数のノード同士を高速・低遅延なInfinibandで接続。ボリューム管理やデータ保護に関しては「OneFS」という独自の分散ファイルシステムが行なっており、最大144ノード、10PBまでの容量までをカバーする。その他、武堂氏は「最大4重障害にも対応できるデータの保護機能」や「ノード間でのデータを自動分散」「ダウンタイムなしに拡張可能」「拡張するごとに下落する容量単価」といったアイシロン製品のメリットをアピールした。

VMwareとの相性のよさをアピール

 さらに武堂氏は、仮想化環境におけるアイシロンNASの「ユニファイド化」について言及した。ここでいうユニファイド化とは、従来NASとして提供してきたアイシロンのNASをブロックストレージ化する取り組みを指し、現在10%程度にとどまる仮想化での利用事例をより増やしていくという。まずはiSCSIをサポートし、今後FCoEなどへの拡張も示唆した。「ブロックベースのデータはまだカバーしていないが、NFSとiSCSIをカバーしたことで、仮想化の選択肢が拡がった」(武堂氏)。

スケールアウトNASのユニファイド化により、仮想化での選択肢が拡がる

 また、仮想化におけるストレージの一番の問題は、容量やパフォーマンスの制限からマウントポイントを複数持たなければならないこと。ディスクの使用率が落ちるほか、利用頻度にもばらつきが出る。その点、アイシロンのスケールアウトNASであれば、マウントポイントを単一にできるほか、自動チューニングや容易な管理、保護レベルやパフォーマンスのSLA設定なども可能だという。

VMwareを最適化するアイシロンのスケールアウトNAS

 EMCによる買収を控え、改めて同社のスケールアウトNASの強みを強調した勉強会ではあったが、これらの多くは「クラスタ型ストレージ」と同社が自身の製品を呼んでいた数年前からアピールし続けてきた点でもあり、真新しさには欠ける。また、ノードを増やすのを前提に、重複排除や圧縮のようなデータ削減技術にあまり積極的でないのも、節約やエコを重視する国内の顧客にアピールするか疑問が残る。さらに従来型NASの代表的ベンダーであるネットアップが製品を大きく強化し、HPの「X9000」や日立製作所の「Hitachi Virtual File Platform」のような有力な競合製品が登場してきた昨今、同社の優位点が揺るぎつつあるのも事実だ。買収の行方やブロックストレージへの対応も含め、今後が注目される。

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