このページの本文へ

ITやビジネスのサービス化に向けた3つの施策

XaaS時代に向けたEMC自体のトランスフォーム

2012年01月27日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

1月26日、EMCジャパンは2012年の事業説明会を開催した。代表取締役社長の山野修氏が「ITトランスフォーメーション」「トラスト」「ビッグデータ」の3領域を中心にした事業戦略について説明した。

2桁成長のグローバルより好調な日本法人

 EMCジャパンの代表取締役社長 山野修氏は、まず18%増の売り上げ増を達成した2011年の業績を振り返った。山野氏は、「アップルをのぞくと多くのIT企業は1桁成長だったが、EMCは2桁成長を遂げることができた。日本ではグローバルよりもさらに高い成長率を実現している」と述べた上、業績がシェア拡大、投資、財務という経営の指針をバランスよく満たしている結果であることをアピールした。この背景にはVNX/VNXeやVMAX、Atomsなどの新製品、IsilonやGreenplumなどのM&Aの成果物、さらに震災以降注目を集めたDataDomainなどのバックアップ製品の好調に推移したことが挙げられるという。

EMCジャパン 代表取締役社長 山野修氏

 山野氏は、今後のIT動向として「サービス化」への移行を挙げた。同氏は、従来のITやビジネス自体がサービス化していく現象を「XaaS(eXecution as a Service)」と定義し、単なるアプリケーションやインフラだけではなく、今までのリアルビジネスが次々とサービス化していくという方向性を説明した。こうした動向を踏まえ、2012年は「ITトランスフォーメーション」、「トラスト」、「ビッグデータ」という3つの領域に注力し、ユーザーのトランスフォーム(変革)を促していくという。

EMCが重視する3つの注力分野とトランスフォーメーション

EMC自身も経験してきた変革をユーザーにも

 1つめのITトランスフォーメーションに関しては、ITのサービス化を支援する施策になる。具体的にはインフラの再構築やクラウド関連のコンサルティングや事業者との協業、関連人材の育成支援を進めていくという。また、顧客と共にビジネスを立ち上げるためのクラウドビジネスサロン活動を提供していくと説明した。

 2つめのトラストはセキュリティ、GRC(Gomernance,Risk and Compliance)、災害対策などを指す。多発するサイバー攻撃や東日本大震災などを受けて、信頼のおけるインフラを提供する。「先日の4年以内に東京で大型地震が起こる確率が70%という東大地震研究所の発表は、経営者に大きなインパクトを与えている」(山野氏)ということで、災害対策に加え、災害回避のソリューションも提供していく。また、EMC(RSAセキュリティ)自体も被害に遭ったサイバー攻撃に対抗すべく、RSA ArcherやNet Witness、SecurIDなどをより強化する。

 3つめはもちろんビッグデータだ。ビッグデータ活用の提案、IsilonやAtomsなどビッグデータストレージ、GreenplumやHadoop案件に対応するパートナーとの提携、そしてビッグデータ関連人材育成支援も進めていく。ただ、すでに多くのデータを溜め込んでいる米国の企業に対して、「日本のお客さんのところに行くと、うちビッグデータ持ってないからと言われてしまうことも多い」(山野氏)ということで、ビッグデータ自体を貯めるストレージをきちんと提供していくいう。また、人材育成支援を強化し、特にビッグデータ分野で重視されるデータサイエンティストの養成に力を入れる説明した。

ビッグデータ関連の施策

 山野氏が訴えるITシステムやビジネスの変革とは、EMCがこの10年まさに実践してきたことだ。1990年代、メインフレーム向けのストレージをビジネスの中心に据えていた同社は、ヴイエムウェア、RSAセキュリティ、データドメイン、アイシロンなど積極的なM&Aを経て、まさに大きな変革を遂げてきた。ビジネスのサービス化も着実に進め、近年はSMB向けの製品や仮想化、クラウド関連の品揃えを拡大。さらにビッグデータを取り込もうとしている。今後、同社がどこまで踏み込んだ「サービス化」を実現するのか、その「トランスフォーム」に興味津々だ。

■関連サイト

カテゴリートップへ