このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

CDを超える高音質をPCで満喫!! ハイレゾ音源入門 第1回

再生環境はタダ!? 高音質なハイレゾ音源をとりあえず鳴らす!

2012年09月24日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 趣味の音楽鑑賞と言えば、昔はCDプレーヤーなどの単品コンポやミニコンポ、CDラジカセといった機器で楽しむものと相場が決まっていた。ところが現代は、そういったスタイルも残ってはいるものの、多くの人はより手軽にPCを使って音楽を聴いているだろう。

 昔は「PCなんぞで良い音が聴けるわけがない」と言うオーディオマニアも多かったが、そんなものはもう古い! 「ハイレゾ音源」の配信もスタートし、今ではPCを使ってCDを超える高音質を楽しめる時代になってきているのだ。

 今回はそのハイレゾ音源による高音質リスニングを特集していく。手持ちのPCがあれば気軽に体験できる超高音質の世界へようこそ! ……って、ハイレゾ音源って何?

ハイレゾ音源とは? 知っておくべき基礎知識

デノンのAVアンプ「AVR-3313」のネットワーク再生対応リスト。量子化bit数とサンプリング周波数が書かれている

デノンのAVアンプ「AVR-3313」のネットワーク再生対応リスト。量子化bit数とサンプリング周波数が書かれている

  ハイレゾとは「High Resolution」のことで、文字通り“高解像度の音”の意味である。音楽ファイルの圧縮時やオーディオ機器の入力フォーマットなどで「16bit/44.1kHz」といった表記を目にしたことはないだろうか?

 ●bitとは量子化bit数、●kHzはサンプリング周波数のことを指している。これは音源(収録)の仕様のことで、簡単に言えばサンプリング周波数は1秒間にどれだけのサンプリングを行なうかを示し、量子化bit数は音の大きさの精度を表す。

 これらの数値は高ければ高いほど高精度ということになり、音源は必ずこれらの仕様が伴う。サンプリング周波数は44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz、量子化bitは16または24bitという単位の組み合わせが一般的だ。一方で再生機器はその仕様に対応していなければならない。

 一般的な音楽CD(CD-DA)が16bit/44.1kHzで収録されているのに対して、24bit/96kHz以上の精度で収録された音源をハイレゾ音源と呼ぶことが多い。

可逆圧縮方式の「FLAC」って何?

最新のウォークマン「F800」シリーズがFLAC再生に対応したのがちょっと話題に(44.1kHzまでだけど)

最新のウォークマン「F800」シリーズがFLAC再生に対応したのがちょっと話題に(44.1kHzまでだけど)

 さて、今や音楽を楽しむ人の多くはiPhoneやiPodを利用しているだろう。PCに無償で提供されている「iTunes」をインストールすれば、CDからリッピングした楽曲データや「iTunes Store」で購入した曲をまとめてPCで管理・再生でき、登録したiPodなどに楽曲データなどを同期させ、外出先に持ち出せる。

 便利に使える一方で、ネット配信で提供される圧縮音源に不満を感じる人も少なくなかった。ちょっと聴くくらいならばMP3でいいかもしれないが、好きなアーチストの楽曲はリニアPCM記録のCDを買って、PCにリッピングして聴きたいという人だ。

 そういった人に支持されて普及したのが、圧縮前と圧縮後のデータが完全に一致するという可逆圧縮方式、いわゆるロスレス圧縮である。

 ロスレス圧縮技術は、マイクロソフトの「Windows Media Audio Lossless」(WMA Lossless)やアップルの「Apple Lossless Audio Codec」(ALAC)などがあるが、最近多くのオーディオ機器で対応が進んでいる「FLAC」もそのひとつ。FLACとは「Free Lossless Audio Codec」の略で、その名の通り、フリーで使えるロスレス圧縮音声技術だ。

 FLACはオープンソースとして開発されており、楽曲配信するサイトなどが安価で利用できるため普及が進んできた。同時にPCの音楽再生ソフトやポータブルプレーヤーでも多くはFLACファイルの再生に対応している。先日発表されたソニーの「ウォークマン F800」シリーズも、新たにFLAC対応となったのを知っている人も少なくないはず。

着実に進むハイレゾ音源のネット配信

「HDtracks」と「Linn Records」のトップページ

 そして、海外の「HDtracks」や、イギリスのオーディオメーカーが運営する「Linn Records」など、FLACを採用して音楽配信サービスを行なう音楽配信サービスが始まってきた。CDと同じ16bit/44.1kHzの音源ならば、情報という点ではまったく変わらないものがネット経由で購入できるのだ。

 しかも、前述の高音質音楽配信サイトでは、CD以上の高音質である24bit/96kHzや192kHzといったハイビット/ハイサンプリング収録されたハイレゾ音源の楽曲配信も行っている。そして、この動きは今や国内でも始まってきているのだ。

 単品オーディオの世界でも、CDを超える高音質ディスク規格としては「スーパーオーディオCD」や「DVDオーディオ」などが登場しているが、普及率は今ひとつで、発売タイトルもCDに比べたらわずかなものだ。

 スーパーオーディオCDを再生するには専用のプレーヤーが必要だが、ハイレゾ音源ならば対応した再生ソフト(無料のものもある)をインストールするだけ。今から始めるならば、ハイレゾ音源のネット配信を利用する方が利便性にも経済性にも優れるのは自明だ。

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中