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これだけは知っておきたい 最新テクノロジーキーワード 第9回

「IEEE 802.11ac」Gbps級の速度を実現する新無線LAN規格

2012年06月06日 12時00分更新

文● 小林哲雄

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2012年1月に公開された、バッファローが開発中の11ac対応無線LANルーター

 IEEE 802.11ac(以下11ac)は、次の無線LAN規格だ。すでに米国では、バッファローの米国法人と米ネットギアが、11ac対応製品を発表、あるいは発売している。日本で登場するのはやや先になるが、11acの概要について解説しよう。

こちらは1月に開かれたCES 2012で、ブロードコムブースに展示してあった11acのテストボード。中央上部に3つのアンテナコネクターがあるのがわかる

簡易電波暗室内でテスト中のデータ転送画面を見ると1Gbps overを実現しているのがわかる

3つの手段で高速伝送を実現

 11acは従来の無線LAN規格よりも多いデータが転送できる。いい例えではないかもしれないが、既存の無線LANとの違いを荷物を運ぶ自動車と道路に例えると、こんな感じになるだろうか。

  • ①1台の車により多くの荷物を積む
  • ②左右の車間を詰めて、同じ道路幅で通れる車を増やす
  • ③道幅そのものも広くして交通量を増やす

 802.11gでは変調方式として「64-QAM」と呼ばれる方式までサポートしていたが、11acでは「256-QAM」が追加されている。64-QAMを単純に説明すれば、振幅と位相をともに8段階(3bit)に変化させて、合計64とおりのデータ(6bit)のデータを送るものだ。

 それが256-QAMになると、振幅・位相ともに16段階(4bit)に増やして、合計256とおり(8bit)の転送を行なう。これで1.33倍は速くなる。一方でより緻密なデータ転送になるので、誤差範囲が狭まってしまう。簡単に図示すれば下のようになり、素人目に見ても誤差の許容範囲がより狭まるのがわかるだろう。

64-QAMの模式図。ブルーの濃さがデータの可能性を意味している。モヤっとさせているのは誤差の範囲を意味している

256-QAMの模式図。先の模式図と比べると同じ誤差でもギッチリ詰まっており、エラーに対する許容範囲が狭いなと、感覚的に判断できる

リーダー電子のシグナルレベルメーター「LF-990」で測定した様子。このように視覚的な判断ができる

 11b以降の無線LANでは伝送方式に「OFDM」を使い、帯域内に複数のサブキャリアを用意して、並列転送している。11acのサブキャリア数は20MHz帯域で「64」となっており、11a/b/gの「52」、11nの「56」(いずれも20MHz時)に比べて増大している。つまり11acは従来と同じ帯域でも、より多くのデータが伝送できるようになっているわけだ。

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