メモリー+ロジック、メモリー+メモリー
パッケージに複数の半導体を詰め込むMCP
「MCP」(Multi Chip Package)とは、複数の半導体チップをひとつの封入パッケージに入れたものだ。スペースの限られる機器用に「SiP」(System in Package)にする場合と、複数種類のメモリーをひとつのパッケージに入れたり、製造技術以上の容量のメモリーパッケージを作るために用いられる。
昔話をすると、筆者が最初に手にしたであろうMCPは、「PC-9821 Ra20」に入っていたインテルのPentium Proだった。Pentium ProはCPUと2次キャッシュメモリーが別のチップで、それをパッケージ内で結合したものだった。Pentium DやCore 2 Quadも、2つのチップをひとつのパッケージに入れていたのでMCPである。第1世代のデュアルコアCore i7/i5/i3も、CPUコアとGPU&メモリーコントローラーが別チップのMCPであった。
メモリーの場合、NANDフラッシュメモリーを1チップに複数載せる場合や、NANDフラッシュとDRAMを組み合わせるなど、いろいろな構成がある。MCPを使えば構成上の自由度が上がるわけだ。先に挙げたインテルCPUの場合、パッケージ内に2つのチップを並べているのでわかりやすいが、メモリーの場合は上に積み重ねている製品が多いので、複数チップが入っていることが見た目ではわかりにくい。
スペースの限られる機器では、複数パッケージを基板に載せるのは難しい。しかし、パッケージ内に複数のメモリーチップが入っていれば、実装時にパッケージを変更するだけで製品バリエーションを増やせる。
ただし、あまり何枚もチップを積み上げると、パッケージが分厚くなってしまう。そのためチップをまず薄く削って封入する必要がある。少し古い資料を見ると、130~150μm厚(0.13~0.15mm)に機械研磨で削り、2mm厚のパッケージ内に8枚まで入れるという情報もあった。
MCP自体は新しい技術というわけではない。だがMCPを活用した製品は、我々の身の回りにもありふれた存在になっている。特に小サイズで大容量のニーズが高いmicroSDカードに使われるフラッシュメモリーのパッケージは、驚くほどの高密度積層が行なわれているのだ。
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