無線LANコントローラーチップなどを手がけるブロードコムは19日、都内にて記者説明会を開催し、現在規格策定中の次世代無線LAN技術「IEEE 802.11ac」について説明した。
802.11acは、現在主流のIEEE 802.11b/g/nが使う2.4GHz帯とは異なる、11a/nと同じ5GHz帯の電波を使う高速無線LAN規格である。現在はまだ規格策定中のドラフト段階だが、先週開催されたInternational CES 2012では、バッファローがテスト機材によるデモを披露するなど、製品の登場に向けて本格的に動き出した段階にある。
説明を担当したブロードコム上級副社長のMichael Hurlston氏は、家庭内での高画質なビデオストリーミング用途の拡大が、無線LANの伝送速度拡大を求めているとした。またパソコンやスマートフォンといった機器だけでなく、テレビやカメラ(スチル・ビデオ)、さらには自動車といった新しいデバイスにも無線LAN技術が使われるようになっていて、通信容量や通信可能距離に対するニーズも拡大しているという。これらを背景に、現状の11nではニーズを満たせず、新しい11acが求められているというわけだ。
ブロードコムでは呼びにくい「IEEE 802.11ac」という名称でなく、新たに「5G WiFi」という通称を提唱し、今後は11ac対応製品についてこの通称を使用していくという。90年代後半に2Mbpsで始まった無線LANは、現行の11nで4世代目となり、後継の11acは5世代目。ゆえに「5G」だというのがブロードコムの主張だ。この通称は同社固有のものではなく、業界全体に対しても普及させていきたいという。
11ac最大の特徴は、言うまでもなく高速であること。11b/g/nやBluetooth、無線マウス・キーボードなどで混雑した2.4GHz帯ではなく、より高周波数の5GHz帯を使用し、仕様上の通信速度は最大3.6Gbpsにも達するという。現在の11nが最大で600Mbpsなのに比べると、大幅な高速化が可能だ。