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これだけは知っておきたい 最新テクノロジーキーワード 第9回

「IEEE 802.11ac」Gbps級の速度を実現する新無線LAN規格

2012年06月06日 12時00分更新

文● 小林哲雄

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2.4GHz帯ではできない
80MHz分の帯域を5GHz帯で使用可能

 11acは電波の利用帯域も広げている。11a/b/gでは20MHzの帯域を利用していたが、電波法施行規則の改正により11nでは40MHzの帯域が利用できるようになった(2007年6月から対応)。それが11acになると、標準で80MHzまで(20/40/80MHz)、オプションで160MHzの帯域が利用可能だ。エンコード方式の変更と、サブキャリア数と帯域の増大によって、11acは80MHzの帯域で最高1チャネル433Mbpsの転送能力が得られる。

 11acは従来の無線LANの主流である11b/g/nで使われていた2.4GHz帯を使わず、5GHz帯を使用する。なぜかと言えば、2.4GHz帯はすでに過密な利用状況になっている上に、11acで必要な80MHz分の帯域が使えないからだ。

 11b/gで使用している2.4GHz帯の場合、実質的(20MHz帯域)で利用可能なチャネルは3つしかない※1。つまり隣近所で無線LANが多い場合はお互いに干渉しかねないし、最近はWi-Fiルーターの利用が急増しているため、広い通りではWi-Fiルーターや公衆無線LAN、家庭や企業の私設アクセスポイントにより、干渉しまくる状況になっている。
※1 一般的にはch1/6/11に加えて、日本ではch14も使えるので4つなのだが、設定できない製品も多い。

 また、2.4GHz帯は比較的自由に利用できるので、Bluetoothやデジタルコードレスフォンなどで使われているだけでなく、家庭内では電子レンジからの漏れ電波で干渉することもある。

帰宅途中にAndroidで無線LANの利用状態をチェックするアプリ「Wi-Fi Analyzer」を使ってみた様子。公衆無線LANにWi-Fiルーターと、アクセスポイントが多数干渉しまくっているカオスな状態だ

 一方5GHz帯は、無線LANで広い帯域が利用可能だ。日本で現在利用可能な11aのチャネルは、W52(36/40/44/48)、W53(52/56/60/64)とW56(100/104/108/112/116/120/124/128/132/136/140)だ(カッコ内はチャネル番号で20MHz帯域)。20MHz帯域の利用ならば、19波が同時に利用できる。

無線LANで利用可能な2.4GHz帯は今や非常に混雑しているが、5GHz帯はチャネル数が多く、11acで80MHzの帯域利用も可能

 実際の11ac製品は、11aとの下位互換性と従来の11b/g/nを意識しており、バッファローの製品も11a/b/g/n/acに対応する。

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