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これだけは知っておきたい 最新テクノロジーキーワード第11回

「IMES」建物内のどこにいるかまでわかる位置情報技術

2012年06月20日 12時00分更新

文● 小林哲雄

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 GPS衛星の電波が届きにくい屋内でも、比較的正確な位置情報が得られる技術として「IMES」(Indoor MEssaging System)が注目を集めている。6月13~15日に幕張メッセで開催されていた位置情報関連の展示会「Location Business Japan 2012」にて、IMESについての興味深い展示があったので、この位置情報技術について解説しよう。

日本発のGPS補完技術「QZSS」から派生

 高精度な位置情報を調べられるシステムとして、米国のGPS(Global Positioning System)が広く使われている。元々は軍事用のシステムだが、現在では民生用途の方で広く利用されているのは、もはや説明の必要もないだろう。十分な信号強度の衛星捕獲が4つ以上捕捉できれば、かなりの精度(補正なしで10m程度)で位置がわかる。

 GPSは米国によって運用されているシステムだが、Android端末によってはロシア版GPUの「GLONASS」も利用可能だ。複数の国が似たようなシステムを用意しているのは、位置情報システムは軍事用途にも使われるため、意図的に精度を落としたり、他国・勢力による妨害という懸念があるからだ。

 日本でも独自の位置情報システムを実現する考えがあり、まず米国のGPSを補完および補強する「準天頂衛星システム」(QZSS、Quasi-Zenith Satellite System)がある。2010年9月に、準天頂衛星実用試験機「みちびき」が打ち上げられて、現在も運用中だ。ただし本格的な運用するには、最低3基の準天頂衛星が必要である。そのQZSSの規格制定の中で生まれた派生技術が今回取り上げるIMESだ。

GPSの補完として準天頂衛星が日本で打ち上げられたが、その派生技術として屋内の位置情報取得技術IMESが生まれた。測位衛星技術の説明ページより引用

絶対位置を発信するだけだが
屋内で確実に位置がわかる

 GPSとIMESの最大の違いは「GPSは現在位置を複数のGPS衛星から送信されるデータから計算する」のに対し「IMESは送信機が発信する位置情報を把握する」点にある。

 IMESが使用する電波は、GPSの使う周波数帯のうち「L1」と同じ1575.42MHzを中心周波数としており、衛星の番号に当たる「PRN番号」(正確には疑似乱数のコード)として、173~182の10個が割り当てられている。ちなみにこの割り当ては、現在日本限定となっている。データ転送速度はGPSと同じ50bpsだが、近い将来高速化の予定があるそうだ。

 IMESで送信されるデータは、仕様書で現在「メッセージタイプ」として4種類規定されており、緯度と経度、高さ情報の代わりに「階数」を出す(-50~205階まで対応)。メッセージタイプ#1/#2によってワード長と精度が異なる。GPSの場合、3次元測位のためには最低4個の衛星から良好な信号を得る必要があるが、IMESはひとつの送信機の受信さえあれば、「その送信機が出す位置情報」が得られる。部屋の中にひとつの送信機しかなければ、その部屋のどこにいても同じ位置情報しか得られない。だが、ひとつの部屋に複数の送信機があれば、最も受信レベルの高い情報を利用する仕組みも備える。周波数が高いので隣の部屋の電波は気にしなくてもよい。

 またそれ以外に、12bitの「Short ID」(メッセージタイプ#3)、33bitの「Medium ID」(メッセージタイプ#4)の送信も、「準天頂衛星システム ユーザインターフェース仕様書」で規定されている。

 IMESはシステムとしてはほぼ完成しており、送信を行なうIMESシステムLSIや、コアモジュールもすでに完成している。送信機管理ソフトウェアを使えば、管理者権限の範囲内で送信情報の設定更新もワイヤレスで行なえる。設置に関しても、具体的な設置位置に対しての位置データの作成や、信号伝搬シミュレーションが行なえるようになっている。

IMES送信のためのシステムLSIシステムLSIを組み込んだオールインワンの送信モジュール例
送信製品例。このようなタイプでは設置・配線コストがかかる

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