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2012年は「新ビジネスを創出するサーバー」を目指す

事業説明会でHPが明かした2つの新プロジェクトとは?

2012年01月11日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月10日、日本ヒューレット・パッカードはエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク製品に関する2012年の事業戦略説明会を開催した。説明会では、超低消費電力サーバー「Project Moonshot」と、ミッションクリティカル向けのx86サーバー「Project Odyssey」という2つのプロジェクトが披露された。

「FUTURE CITY」の社会インフラを支えるHP

 説明会の冒頭、日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏は、企業の生産性向上のために生まれた1960年代のコンピューターの時代から、1980年代以降のパーソナルコンピューターの登場、そして2000年以降、ICTの利用が社会インフラにまでおよんできた変遷を振り返った。さらに超高齢化社会、エネルギー問題、安全・安心など日本が直面する課題を挙げ、今後HPでは豊かな社会の実現に向けた「FUTURE CITY」を掲げると説明した。「ハードウェア、インフラ、ソフトウェア、サービスなどの面で、経営課題や日本の課題を解決するプレイヤーとしてビジネスを進めていきたい」と2012年の抱負を述べた。

日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏

企業から個人へ、そして社会へというICT利用の変遷

 続いて登壇した執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏は、昨年メグ・ホイットマン氏がCEOに就任した後、元来HPが強みを持ってきたミッションクリティカルなインフラをコア事業により強化していくという方向性を確認した。そして、「世界最大・最強の情報インフラを提供するプロバイダーとして、自ら製品を研究開発していく」(杉原氏)とインフラ事業への意気込みを述べ、不変の戦略として同社が2年前に発表した「Converged Infrastructure」をより強力に進めていくと説明した。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 杉原博茂氏

インフラをベースにソフトウェア、サービス、ソリューションが積み重なるHPの全体戦略

HPならではの2つのプロジェクト

 最後にサーバー事業の具体的な施策を説明したサーバーマーケティング統括本部 統括本部長 上原宏氏は、SNSやサービスプロバイダーなど1案件で1000台という案件が6件にのぼったこと、国内のSuperdomeの出荷台数が前年比で150%成長を達成したことなど、昨年の成果と市場を振り返った。一方、サーバーの売上高がマイナス成長と予測されている市場予測についても言及。「マイナスになるという市場予測を裏切りたい」(上原氏)と説明した。

日本ヒューレット・パッカード サーバーマーケティング統括本部 統括本部長 上原宏氏

2011年のHPのサーバービジネスの成果と市場の変化

 そして、上原氏が市場予測を裏切るための切り札として挙げたのが、小出氏、杉原氏からもアピールされた2つのプロジェクトだ。

 1つめのProject Moonshotでは、約6Wのサーバーモジュールをボード上に実装した超低消費電力サーバーの計画。ハードウェアリソースの共有密度をブレードサーバーよりも向上させた「Shared Everything Architecture」という思想に基づいて設計され、指数関数的に増大するサービス要求を満たす省電力・省スペースのインフラを提供するという。ARMやIntel Atomなどの超低消費電力プロセッサーの採用を想定しており、1トレイで72ノード、1シャーシで288ノード、さらにラックあたりで最大2880ノードまで搭載できる。これにより、消費電力を89%、スペースを94%、コストを63%削減可能になるという。製品としては2012年の上半期を予定しているとのこと。

Project Moonshotの概要

Shared Everything Architectureの概要

 もう1つのProject Odysseyは、従来Superdomeで担っていたミッションクリティカルな技術をx86サーバーにまで拡大する計画。具体的には、既存のItaniumベースのSuperdome 2に加え、ミッションクリティカル領域向けのサーバーとしてXeonベースのブレードサーバー「HYDRALYNX」、同じくx86ベースのSuperdome 2向けブレードである「DRAGONHAWK」(ともに開発コードネーム)を今後2年以内に投入する。拡大しつつあるミッションクリティカル分野のニーズに応えるべく、長年のHP-UX/NonStop/OpenVMSなどで培ってきた技術やノウハウをx86サーバーに投入するという。

Project Odysseyの概要

Xeonベースの新ブレードとSuperdome 2

 これら2つのプロジェクトは「斬新なイノベーションで、ITを駆使した新しいビジネスを創造」するのに貢献するという。上原氏は、「近年、われわれはお客様にコスト削減の提案ばかりしていた。これでは売上額が減少していくのも当たり前だった」と反省し、今後はそれだけではなく、Webサービスやビッグデータなど新しいビジネスに貢献する製品として展開していくと説明した。また、スペック重視から顧客体験の提供へのシフトを図るほか、「データベース改革推進アライアンス」やConverged Infrastructureをベースにした新しいビジネスを提案できるPlatinumのパートナーをより拡大していくといったコミュニケーション施策も打ち出した。

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