AMDは日本時間2012年2月15日、Radeon HD 7000シリーズの新モデル「Radeon HD 7770」と「Radeon HD 7750」を発表した。それぞれ2011年5月に登場した「Radeon HD 6770」「Radeon HD 6750」の後継モデルとなるミドルレンジ向けGPUだ。
今回登場したRadeon HD 7700シリーズは、コアの製造プロセスが「Radeon HD 7970」や「Radeon HD 7950」と同じ28nmプロセスへと変更。アーキテクチャーも刷新され、ミドルレンジの700番台モデルとしては、2009年10月に登場したRadeon HD 5700シリーズ以来、実に2年4ヵ月ぶりの大幅アップデートとなる。
想定価格はRadeon HD 7770が約1万6000円~1万9000円、Radeon HD 7750が約1万3000円~1万5000円前後とされ、ミドルレンジを担う価格帯へと投入されるということで注目しているユーザーも多いと思う。そこで今回は編集部に到着したばかりのリファレンスモデルを使って、気になる性能をじっくりとチェックしていくことにしたい。
上位モデルと同じ「Graphic Core Next」アーキテクチャーを採用するRadeon HD 7700シリーズ
Radeon HD 7770/7750のコアアーキテクチャーは上位モデルと同じ「Graphic Core Next」(以下GCN)を採用する。GCNで中核を担うRadeon Core自体は、Radeon HD 6000シリーズのVLIWから大きな変更はないものの、内部構成を見直すことでスループットを向上。さらに、より汎用的な用途でもパフォーマンスが発揮できるように設計されているのが特徴だ。
なお「Graphic Core Next」については「28nmの新設計GPU「Radeon HD 7970」は頂点に立つのか?」で詳しく解説しているので、そちらを参照してもらいたい。
そのほか機能面では、省電力機能「AMD Power Tune Technology」や、ディスプレーの電源がオフになるような状態で、PCI Express以外の電力供給をカットする「AMD ZeroCore Power Technology」を搭載。さらに、「AMD Eyefinity Technology 2.0」によるマルチディスプレーや最新インターフェースPCI Express 3.0にも対応するなど、上位モデルRadeon HD 7900シリーズと同様の機能をサポートする。
一方、性能面では、ストリーミングプロセッサ数が上位モデルのRadeon HD 7770で640基、Radeon HD 7750では512基へと大幅に縮小。また、ROPユニット数も16基へと半減、メモリインタフェースは1/3となるなどミドルレンジらしく大胆な割り切りが行われている。
そのおかげもあり、消費電力はRadeon HD 7770が80W、Radeon HD 7750で55Wとかなり低く抑えられている。特にRadeon HD 7750ではPCI Expressの最大供給電力75Wを下回るため、ミドルレンジ製品としては久しぶりに外部電源が不要のモデルとなる点には注目だ。
動作クロックはRadeon HD 7770がコアクロック1GHz、メモリクロックが1150MHz(転送レート4500MHz)。Radeon HD 7750がコアクロック800MHz、メモリクロックが1150MHz(転送レート4500MHz)となっている。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Radeon HD 7770 | Radeon HD 7750 | Radeon HD 6770 | GeForce GTX 550Ti | |||
製造プロセス | 28nm | 28nm | 40nm | 40nm | ||
DirectX対応 | 11.1 | 11.1 | 11 | 11 | ||
コアクロック | 1GHz | 800MHz | 850MHz | 900MHz | ||
ストリーミング プロセッサ数 |
640基 | 512基 | 850基 | 192基 | ||
ROPユニット数 | 16基 | 16基 | 16基 | 24基 | ||
メモリ転送レート(相当) | 4.5GHz | 4.5GHz | 4.8GHz | 4.1GHz | ||
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | ||
メモリバス幅 | 128bit | 128bit | 128bit | 196bit | ||
メモリ帯域 | 72GB/s | 72GB/s | 76.8GB/s | 98.5GB/s | ||
最大消費電力 | 80W | 55W | 108W | 116W | ||
外部電源 | 6ピン | なし | 6ピン | 6ピン |
※お詫びと訂正:表内の型番に誤った記載がありました。訂正してお詫びいたします。
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ