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International CES 2012特集 第10回

2012年が最後のCESに マイクロソフトが残すメッセージとは?

2012年01月13日 15時30分更新

文● 塩田紳二

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途中では、講演について語るツイートを(ハッシュタグ#msftces)、ゴスペルグループが歌いながら読み上げるという変わったコーナーも。ツイートにXboxの話題が出てくると、講演の話もXboxに変わった

 Windows PhoneとWindows 8に続いては、第3のプラットフォームである「Xbox 360」の話題へと移った。ネットワークサービス「Xbox Live」も、昨年のアップデートによりMetro風インターフェースとなっており、今やマイクロソフトのコンシューマー向けOS・デバイスはすべて、Metro UIで統一されつつあるわけだ。

「Xbox Live」もMetro UIを採用。これでパソコン、携帯電話、Xboxのすべての「画面」がMetroになった

 Xbox 360もまったく新しい話題というものはなかったが、大ヒット中のモーションセンサーデバイス「Kinect」を使った、興味深いアプリケーションが披露された。これは米国で人気の高い子供向け番組「セサミストリート」のマペットたちと、画面の中で遊べる「Kinect Sesame Street TV」というもの。セサミストリートの人気マペット相手に、画面に向かって物を投げるといったジェスチャーによるミニゲームをしたりするもので、番組の世界観を生かした楽しそうなゲームになっている。

「Sesami Street TV」は、プレイヤーがセサミストリートの世界に入って、人気キャラクターたちと遊ぶゲーム。自分の姿や動きが反映されるので、「世界に入る」感覚が普通のゲームとまるで違って見える

 またKinectのWindows版SDKが完成して、正式版となったことも発表された。また、パソコン版Kinectである「Kinect sensor for Windows」が2月に出荷されることも発表された。ちなみにAmazon.comなどでは、「2月1日出荷予定」としてすでに販売が開始されているようだ。

 Windows版Kinectについては、ボーイングやアメリカン・エクスプレス、マテルにトヨタといった企業が、Kinectを使うビジネスソリューションを計画していることも紹介された。ただし、具体的にどんなシステムにするのかという話はなし。Windows版Kinectへの、来場者の注目は非常に高い。会場内のマイクロソフトブースでも、Kinectを使ったWindows用ソリューションについて説明している小さなコーナーの周囲は、黒山の人だかりといっても過言ではないほどだ。

KinectをWindowsと組み合わせて使うためにライセンス契約した企業の例。担当分野も様々

Windows版Kinectを使ったソリューションの例を説明するコーナー。人だかりが絶えず、何をしているのか見るのさえ大変だったほど

最後の基調講演でも
特別なメッセージはなく

 マイクロソフト最後のCESということと、Windows 8が開発中ということもあり、「何か新しいものが披露されるのでは」という期待を持って、基調講演に臨んだ人も多かっただろう。しかし最後の基調講演でも、特別な何かが出てくることはなく、淡々と既存の情報が紹介されるだけに終わったのは残念だ。

 マイクロソフトにとってCESとは、どういう位置付けだったのだろう? 今も昔もCESは「家電のイベント」であるが、マイクロソフトが参加するようになった15年ぐらい前から、インテルやヒューレット・パッカード(HP)といったPC・IT関連企業の参加が目立つようになってきた。CES開催日初日の基調講演も、かつてはソニーや松下といった家電メーカーがメインだったが、PC系企業の参入以降は、PC系と家電系企業のCEOが交互に講演するのがしばらく続いた。最近では、携帯電話系の企業もCESに多数進出してきており、モトローラが基調講演を行なったこともある。

 マイクロソフトがCESに参加したのは、「家電のPC化」という側面もあるが、「企業として、世間一般に認知されたい」という面も、当時はあったと考えられる。そうした傾向はマイクロソフトだけでなく、インテルやHP、デルといったPC・IT系企業全般にあった。製品は誰もが見たことがあるのに、企業名はロクに知られていないというのは、多くの企業にとってあまり心地いいものではないようだ。また、企業名が知られることでブランドとして確立し、以後のさまざまな展開が楽になるという面もある。

 しかし今回のCES会場では、PC・IT系企業の顔はほとんど見えない。例年同様、インテルとマイクロソフトが肩を並べるようにブースを出展してはいるが、米国を代表するPCメーカーであるHPやデルは出展さえしていないし、レノボは会場外に独自ブースを用意して関係者のみ入場可能という程度だ(3社ともUltrabookなどは、インテルやマイクロソフトブースに出展している)。「最後のCES」というわりには盛り上がりが欠けたのは、「もはやマイクロソフトは、家電市場向けへの特別なメッセージはない」ということなのであろう。

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