NECパーソナルコンピュータは、2012年1月1日午前9時から、個人向けパソコンの「使い方相談」における電話サポートを完全無償化した。
その狙いはどこにあるのか。1月1日付けで、NECパーソナルコンピュータの代表取締役社長に就任した高塚栄氏に話を聞いた。
2年目以降の電話サポートも完全無償
「安心/簡単/快適」をさらに強化
NECのパソコンは、これまでにも新規購入時から1年間は、121コンタクトセンターによる使い方相談の電話サポートを無償で受けられるサービスを標準で提供していたが、2年目以降は有償となっていた。しかし、今回の制度変更では、2年目以降もすべて無償とし、購入から廃棄するまで一貫したサポートを、無償で受けられることになる。
また、1年以上前にNECのパソコンを購入し、電話サポートが有償の扱いとなっていたユーザーも、1月1日以降は、無償でサポートが受けられるようになる。
「購入後におけるパソコンの使いこなしのペースは、ユーザーごとに大きく異なる。すぐに理解してしまう人もいれば、1年以上をかけて、パソコンの利用を習熟する人もいる。また、周辺機器やソフトウェアを新たに購入することによって、新たな使い方が始まるといったことも少なくない。
パソコンは使い方が一定ではなく、段階を経て、用途が広がるのが特徴。購入から2年以上を経過して、新たな使い方を知りたいということも多々ある。今回の使い方相談の完全無償化によって、ユーザーは購入時期にかかわらず、商品の使い方や、困った時のサポートを受けられることになり、従来以上に、安心/簡単/快適にパソコンを使用できるようになる」と高塚社長は話す。
これまでにも、2年目以上のユーザーによる問い合わせ比率は2桁の構成比を占めていたようだ。有償サポートであることで、問い合わせを控えていたユーザーを含めるとかなりの数にのぼるとみられる。
高塚社長は、社長就任後も「安心/簡単/快適というNECが目指す方向性に変化はない」と語る。そして、「NECのパソコンに対して、多くのユーザーが求めているのは、まずは安心して使えること。電話による使い方相談の無償化は、安心というNECパソコンの特徴をさらに強化できる」と、今回の制度変更が、その方針を踏襲したものであることを強調する。
従来以上の“つながりやすさ”を目指し
121コンタクトセンター仙台を開設
NECパーソナルコンピュータでは、使い方相談の電話サポート無償化に併せて、コール数が増加することを想定。それに応えるべく体制強化を進めてきた。
「無償化した途端に電話がつながりにくくなったということでは、むしろ顧客満足度を下げてしまうことになる。無償化してもこれまで以上につながりやすい環境を構築しなくてはならない」とする。
従来121コンタクトセンターは、東京、大阪、福井、沖縄の4ヵ所で運営していたが、2011年11月1日には、宮城県仙台市に新たに121コンタクトセンター仙台を開設。体制を強化した。
さらに対応品質の向上に向けて、初心者でも分かりやすい言葉づかいの徹底や、問い合わせが多い内容については、ナレッジベースを活用した迅速な対応を強化するなどの取り組み、さらに一度の問い合わせで解決できる問題解決率の向上に向けたオペレータの対応レベル向上などに力を注いでいる。
加えて、リモートサポートにより、初心者ユーザーのサポートに効率的に対応できる体制も整えている。
経営資源をまずはサポート分野に投資
相乗効果を生かした新製品、Ultrabook投入も示唆
NECパーソナルコンピュータでは、もともと無償で電話サポートを行なっていた経緯があるが、2007年11月から、2年目以降の電話サポートを有償化していた。
では、なぜ今回、無償化へと制度変更できたのか。
それは、2011年7月1日に、NEC レノボ・ジャパン グループを発足した効果だといっていい。世界第3位のシェアを誇るレノボグループの調達力を背景に、調達コストの大幅な削減に成功。これによって得られた経営資源をサポート分野に投資したというわけだ。
高塚社長は、「安心して使えなくては、パソコンを購入していただけない。まずはここに投資した」とする。
当然、今後は、製品そのものにおいても、レノボとの合弁の成果が出てくることになるだろう。
高塚社長は、「新たな製品を企画して、製品化するまで約1年を要する。合弁前の7月1日以前には、お互いに細かな部分まで情報を開示することができなかったが、合弁以降は積極的に情報を交換し合い、双方が持つノウハウを活用する体制が整ってきた。合弁から1年を迎える2012年7月前後には、相乗効果を生かした製品が投入できるはず」と語る。
そこでは、注目されるUltrabookの製品投入も含まれていることを、高塚社長は明らかにする。
2012年のNECパーソナルコンピュータは、サポート体制の強化とともに、新たな製品投入でも注目を集めることになりそうだ。