NECとの合弁会社設立で業界を驚かせたレノボは、この2年間で日本国内のシェアを約2倍に増やした非常に勢いのある企業だ。レノボ・ジャパンのロードリック・ラピン社長は、今回のジョイントベンチャーは日本の技術がグローバルで幅広く浸透するきっかけを作ると話す。
そこにはどんな意図がこめられているのだろうか。
成熟したPC市場で伸び続けるレノボ
── これまでの日本市場での取り組みに関してお伺いできれば。
ラピン この2年を振り返ってみましょう。日本市場での当社のシェアは、2009年最初の四半期(1~3月期)で3.7%でした。しかし直近の四半期では7.1%にまで伸びています(いずれもIDCによる調査)。
日本のコンシューマ市場に参入できたことも良かったと思いますし、法人分野でも大きな成功を収めています。直近6四半期の業績では、6期のうち5期が業界最速の成長率を達成しています。先期はアップルが上回ったため、6期連続とは言えないのですが、ウィンテル(IntelベースのWindowsマシン)のカテゴリーに絞ればいぜんとしてトップを維持しています。
── 2年でほぼ倍近いシェアを得られた要因はなんでしょうか?
ラピン ひとつはプロダクトラインの拡充です。日本市場に合った製品を投入できました。設計という意味では、幸運なことに日本には、ThinkPadシリーズを手がける大和研究所があります。コマーシャル(法人)・コンシューマ(個人)向けの両方でニーズに合った製品を開発しやすい環境ができていると思います。
また、従来のビジネスモデルを見直し、市場へのアプローチの仕方を整理しました。以前は直接販売と間接販売が混在していて、社内のスタッフにっとても、お客さまにとっても、パートナーにとっても戸惑う部分がありました。そこで現在は、すべてをパートナー経由で販売するというシンプルな形にしました。
同時に社内でもチャネルチーム・パートナー事業部を立ち上げ、ここで一貫したエンドユーザーへの対応をする形としました。
これらの施策はレノボが全世界で掲げているProtect to Atackの戦略(攻めと守りの戦略)に沿って進められたものです。CEOから出ているグローバルのミッションを各地域に合った形に落とし込んでいきます。日本における「守りの分野」は好調だった法人の分野です。「攻めの分野」としてはコンシューマやSMBが当てはまるでしょう。