ここからはこの秋冬モデルで注目したい製品を3機種紹介する。以前から「高級機」と呼んでいい価格帯にある製品は存在したが、現在はBDレコーダー自体の売れ筋モデルの価格帯は10万円台からさらに下がっており、20万円あれば前回紹介した各社の主力モデルでも余裕で2台買える。3チューナー機を2台買えば6チューナーである。
それだけ高価格になってしまうのは、高画質・高音質にこだわっていたり、他では手に入らない特別な機能を備えたりしているからだ。では、そこに一般的なBDレコ2台以上の価格を支払う価値があるのかどうかを考えてみたい。
高剛性シャーシなどプレミアム仕様ここに極まる!!
パナソニック「DMR-BZT9000」
パナソニックはこれまでも最上位モデルを「プレミアム仕様」とし、ほかのモデルとは別格の高画質技術や高音質パーツなどを投入。画質・音質にこだわったモデルを用意してきた。今年は「DMR-BZT9000」(実売価格26万3000円前後)と「DMR-BZT910」(実売価格14万9600円)の2モデルを投入している。
特にDMR-BZT9000は、ほかのモデルと比べて格段に高額だ。3TB HDDの採用など、基本スペックもかなりのものだが、高価格の理由は新シャーシなどにある。
これまでパナソニックは最上位モデルであっても、下位モデルとほぼ同様のシャーシを採用していた。サイズなどは異なるものの、一般的な鋼板を使ったシャーシだ。それなりの高価格なのだから、「外観もそれにふさわしいものを」という声も多かったが、今回はそれに応えた形となる。
このシャーシは、アンダーシャーシに3層構造のベースシャーシ、側板と天板にはアルミパネルを採用し、ボディ剛性を大幅に向上したもの。インシュレータ(脚部)には、従来から採用されているセラミック材とABS樹脂を組み合わせた新タイプを採用した。
高剛性と増加した重量によって振動を抑え込む、高級オーディオ機器の手法を採り入れた。これにより、ボディの重量は同じプレミアム仕様のDMR-BZT910の約3.8kgと比べて約7.5kgにまで肥大した。
こうした外観にも目を見張るが、さらに凄いのは内部だ。BDドライブは高剛性ドライブシェルターによる制振仕様。これは高速で回転するディスクの振動が回路に影響を与えないため、逆にディスクの安定した信号読み取りを高めるためのもの。これも高級CDプレーヤーなどでよく見られるものだ。
そして、同じ回転体であるHDDも、従来と同様に回転ムラによる振動の発生が少ない選別品を使用。まず回転体の発する振動を徹底して低減している。
続いて、今や定番と言える高音質パーツ。オーディオ出力回路の高音質コンデンサーをはじめ、電源部にもOFC電源トランスや、高音質コンデンサーを採用。付属する電源ケーブルも、Φ10mmの太いOFC電源ケーブルとなっている。まさにちょっとしたオーディオ機器のような内容だ。
回路技術に関しても抜かりはなく、プレミアム仕様モデルだけに搭載される「リアルクロマプロセッサ Plus」を採用する。これは「マルチタップ型クロマアップサンプリング処理」を行なうもの。インターレース信号の映像信号をプログレッシブ信号に変換してから圧縮されていた色信号を元に復元する技術で、色信号の復元時、隣接する画素だけでなく、さらに複数の画素の情報も参照することでより正確な色信号の再現を行なう。最新モデルではさらに精度を高めるための進化が図られている。
そして、特にプロジェクター視聴時に威力を発揮する「ディテールクラリティ for BD」もプレミアム仕様モデルのみの機能だ。これは映像信号に対して周波数帯ごとに最適な処理を行なうことで、ディテールの再現性を高めるもの。従来は輝度信号だけの処理だったが、今回から色信号処理も加わり、さらに再現性を高めている。
このほか、アニメ特有のノイズを低減する「アニメモード」や、アニメ作品のアップコンバート処理の精度を向上する「原画解像度」などの機能を備えている。
ノイズ対策として「シアターモード2」と「ハイクラリティサウンド2」という機能も搭載する。シアターモード2は、BDやCD再生時にHDD、チューナーを停止し、ノイズの発生を抑えるモード。今回は新たに冷却FANも停止するようになっている(内部温度が40度以下の場合のみ)。
ハイクラリティサウンド2も同様の発想によるもので、HDMI出力時にアナログ映像出力系の回路を停止する。CD再生時では、デジタル映像処理回路、映像DACなども停止し、ほぼ音声回路だけが動作する仕様だ。
これに加えて、高級機では定番である映像/音声信号を独立して出力できる2系統のHDMI出力端子、192kHz/32bitオーディオDACも装備しており、熱心なAVマニアに向けて徹底して高画質・高音質にこだわっているというものがDMR-BZT9000の特別な部分だ。
このようにプレミアム仕様で変わってくる部分は、画質と音質に関する部分だけであり、基本機能はDMR-BZT810とほぼ同じと考えていい。つまり、16万円以上に及ぶ価格差を画質・音質だけに投じることができるのかが問われるわけだ。
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