「CEATEC JAPAN 2011」の前日となる10月3日。東芝から年末の話題を独占しかねない驚異的なニューモデルが発表された。4K2Kテレビ「REGZA 55X3」(予想実売価格 90万円前後、12月中旬発売)と、地デジ放送6chの番組を最大15日分蓄積できるREGZAサーバー「DBR-M190」(同20万円前後、12月中旬発売)、同じく最大8日分蓄積できる「DBR-M180」(同15万円前後、12月中旬発売)だ。
これらについて、今やREGZAブランドの「顔」とも言える本村裕史氏(東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 デジタルプロダクツ&サービス第1事業部)に、その詳しい内容とCEATECで東芝が提案する「REGZA WORLD」についてじっくりと話を聞いてみた。
リビングの大画面テレビの進化形となる
4K2Kテレビ「REGZA 55X3」
本村(以下敬称略):「55X3は、リビングに置かれる大画面テレビの王道を行くモデル。テレビは白黒テレビから始まって、カラー化、フルHD化と進化を遂げてきましたが、4K2Kはその進化の延長線上にあります」
4K2Kテレビの存在はこれまでも噂されてきたが、地デジ化(すなわちテレビのハイビジョン化)がひとまず完了した2011年に、素早くその次のテレビを提案するところが、先進性を大きな武器とするREGZAらしいところだ。
まず、55X3の詳しい内容を紹介しよう。使用するパネルはフルHDの4倍となる3840×2160ドットの「QFHD」(Quadruple Full High Definition)パネル。「Quadruple」(クアドラプル)という言葉は聞き慣れないかもしれないが、フィギュアスケートの4回転ジャンプをクアドラプルと呼んだり、スキー場の4人乗りリフトをクアッドリフトと呼んだりするように4倍を意味する。
つまりフルHDの4倍というわけだ。一般に言われる4K2Kには、デジタルシネマで採用されている4520×2540ドットも含まれるので、それと区別するための名称だろう。
表示パネルは社外のパネルメーカーが生産するものだが、東芝が専用にオーダーしたカスタムメイドのものだ。これに組み合わされるLEDバックライトは画面の真後ろにLEDを配置する直下型で、LEDブロックは240に分割され、それぞれ個別に発光量を制御する「エリアコントロール」を行なうことで、高コントラストを実現している。
4K2K撮影の映像をダイレクトに表示したデモでは、やはりその高精細さに驚かされた。映し出される映像がどんどん肉眼視に近い印象に感じるし、あきらかに次元の異なる映像だと実感する。
そしてもうひとつのポイントが「グラスレス3D」。これは昨年発売されたモデルと同様に、9つの視差映像を同時に表示することで裸眼で3D映像を楽しめる「インテグラルイメージング方式」によるもの。
3840×2160ドットで9視差の映像を表示するため、映像そのものの解像度は1280×720ドットとなるが、わずらわしい3Dメガネなしで立体映像を楽しめるのは、リビングに置かれるテレビとしてはベターな提案と言えるだろう。
本村:「いかにハイビジョンと言えども、50V型を超えると少々甘さを感じてしまうことがあります。QFHDパネルならば画素は間近に寄って見てもほとんど見えません。そして、グラスレス3Dは3Dメガネを使う方式に比べると精細感などまだ劣る部分もありますが、3Dテレビの理想形であることは間違いないです」
このグラスレス3Dも、昨年の中~小型サイズモデルよりも進化している。まずは、9視差映像を生み出す「レンチキュラーシート」を無効化できるようにし、QFHDの2D表示と3D表示を自由に切り替えて楽しめるようにした。
さらに、画面下部の中央に顔検出用のカメラを備え、テレビの前の人の顔を検知し、その位置に合わせて最適な3D映像が映るように視差映像を調整する「フェイストラッキング機能」を備えている。
このため、視野角がやや狭い裸眼3Dではあるが、家族が3人横に並んで視聴しても十分な3D映像が楽しめるサービスエリアを実現している。
筆者の印象としては、絶対的な解像感はやや劣るものの、奥行き感が豊かで自然な3D感が得られると感じた。もう少し飛び出し感がはっきりと出てもいいと感じるが、いかにも3D映像という立体感ではなく、普段自分の眼が見ている立体感に近いスムーズさは、これはこれで面白いと思う。