今のご時世、家庭内のネットワーク整備は言うまでもなく当たり前! それなら最新の無線LAN機器を導入すれば解決だ。最新機種では450Mbpsのワイヤレス接続を達成し、一般的な有線LAN(100BASE-TX)の速度を凌駕しているのだから、もはやケーブル敷設の必要はないわけだ。
本特集では3回にわたって無線LANの特徴や性能、付加機能を徹底検証する。どこに注目すれば機種選びで迷わないのか? 一回目はトレンドを解説しよう。
ますます高速化する無線LAN、これが進化の証だ!
当初の無線LAN規格(IEEE802.11b)の接続速度は11Mbpsだった。それでも、ケーブルレスで繋がる利便性が多くのユーザーに受け入れられ、浸透していった。やがて新規格の11aや11gが登場して接続速度は最高54Mbpsへと高速化され、さらに11n規格が2009年に正式策定されると、接続速度は一気に数倍に向上する。その秘密は「MIMO」と「デュアルチャンネル」にあった。
MIMO(Multi Input Multi Output)というのは、複数の送信アンテナからの信号を、複数の受信アンテナで受けることで無線伝送を効率化するものだ。たとえば元のデータをA/Bに二分割し、「1番のアンテナからA」を「2番のアンテナからはB」を送り、2基ないしは3基のアンテナで信号を受けて元のデータに合成する。これにより、見かけ上の速度は約2倍になるのだ。実際には送受信の効率化もあり、接続速度は最高144Mbpsとなる。
加えてデュアルチャンネルだ。通常は1チャンネル分(20MHz)しか使わない電波の周波数帯を、2チャンネル分(40MHz)使うことで、接続速度は144Mbpsの2倍以上、最高300Mbpsになる。
これこそ最近の無線LAN機器の多くが搭載するようになった、高速無線LANの正体である。MIMOもデュアルチャンネルのどちらも、11n規格で定められているため互換性が高いのが特徴だ。11b/gといったこれまでの端末も安心して繋げられる。
無線LANの最高速! 450Mbpsはどうなっている?
では、最新機種の一部が採用している接続速度450Mbpsはどういうものなのか? これもまたMIMOを使うのだが、今度は送信側3基・受信側3基のアンテナで、データを三分割したものを送受信する。接続速度300Mbpsでは2対2のアンテナ構成だったものを、3対3にするのだから単純に1.5倍して接続速度450Mbpsとなるわけだ。
電波が干渉しないよう3基のアンテナをある程度離して置く必要があるため、アンテナ部分が大きくなってしまう。そのこともあって、今のところ、3対3のMIMO通信が可能な無線LAN子機は一部のノートパソコンに限られてしまうのだが、既存の接続速度300Mbpsの通信モードで使っても障害物に強く、高速で通信できる距離も長くなる。詳細は次回のベンチマークテストを見ていただくとして、450Mbps対応機器を今導入しても決して無駄ではない。
なお、アンテナの本数に関して11nで規定されているのは、最高で送信4基×受信4基の構成である。この場合は、デュアルチャンネル併用で最高600Mbpsの接続速度になる計算だ。
ロジテック LAN-WH450N/GR
3対3のMIMO(3ストリーム)対応で最高450Mbpsの接続速度を誇るロジテック「LAN-WH450N/GR」の変形アンテナ。いろいろな角度に動き、花びらが開くように開閉する。アンテナの最適な空間位置のための仕組みだ。
■Amazon.co.jpで購入
LAN-WH450N/GR 主要スペック | |
---|---|
メーカー | ロジテック |
サイズ | 35×140×170mm |
重量 | 約300g |
消費電力 | 10.3W(ACアダプタ含まず) |
準拠規格 | IEEE802.11n/a/g/b |
有線LANインターフェース | 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T |
推奨接続台数 | デジタル家電2台、パソコン5台以下、ゲーム機3台以下 |
データ転送速度 | IEEE802.11n/a :最大450Mbps IEEE802.11n/g/b :最大300Mbps IEEE802.11a :最大54Mbps IEEE802.11g :最大54Mbps IEEE802.11b :最大11Mbps |
周波数範囲 | 2.4GHz帯(2412~2472MHz) W52:5.2GHz帯(5150~5250MHz) W53:5.3GHz帯(5250~5350MHz) W56:5.6GHz帯(5470~5725MHz) |
セキュリティー | WPA2-PSK(AES) WPA-PSK(TKIP) WEP(128/64bit) |
実売価格 | 1万円 |
バッファロー WZR-HP-G450H
本体よりも長い3本の可変アンテナを持つバッファローの「WZR-HP-G450H」。MIMOの場合、3基のアンテナをなるべく別の向きに向けたほうが効率が良くなる。付属の台座を使って壁掛け設置も可能である。
■Amazon.co.jpで購入
WZR-HP-G450H 主要スペック | |
---|---|
メーカー | バッファロー |
サイズ | 35×165×158mm |
重量 | 約404g |
消費電力 | 16.9W |
準拠規格 | IEEE802.11n/g/b |
有線LANインターフェース | 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T |
データ転送速度 | IEEE802.11n :最大450Mbps IEEE802.11g:最大54Mbps IEEE802.11b :最大11Mbps |
周波数範囲 | 2.4GHz帯(2412~2472MHz) |
セキュリティー | WPA2-PSK(AES) WPA-PSK(AES) WPA/WPA2 mixed PSK WEP(128/64bit) |
実売価格 | 1万2000円 |

この連載の記事
-
第3回
トピックス
無線LANの付加機能で家庭内ITを快適にする方法 -
第2回
トピックス
より速く、より遠くへ! 無線LAN最新機器ベンチマーク -
トピックス
最新無線LANで爆速ワイヤレス人生を満喫 - この連載の一覧へ